酒気帯び車椅子 (集英社文庫)
酒気帯び車椅子 (集英社文庫) / 感想・レビュー
ナマアタタカイカタタタキキ
昨今の言葉でいう“パワーワード”そのものの表題の通り内容も滅茶苦茶ながら、非常に痛快な勧善懲悪エンタメ小説。強姦のシーンが度を越して惨いので気分が悪くなる人もいそうだけれど、そこからのストーリーの加速度は見事で、伏線もきちんと回収されるのでスッキリ。奥さんが書いた巻末の解説によると、このようなものを推敲も殆ど必要としないまま一気に書き上げたらしい。プロですな。まあ、主人公があんな目に遭って車椅子になってからの立ち直りの早さといい、対決シーンのあっけなさといい、ツッコミどころもなくはないけど。一気読み推奨。
2020/12/12
タツ フカガワ
41歳の小泉は8歳の娘と妻智子と幸せに暮らす中堅商社のサラリーマン。ある日小泉が進めているゴルフ場を霊園とアミューズメントを組み合わせる開発にやくざが介入。そこから小泉家の幸せがズタボロに……。なんとも不思議な小説で、とくに中盤からの誉田哲也さんばりのバイオレンス描写、かと思えばユーモアさえ混じる奇想天外な復讐譚。突っ込みどころはいろいろあるものの、読み終えてこの表題に納得。こういうのも嫌いではありません。
2024/10/06
乱読亭AKIRA@晴釣雨読🎣
主人公は平凡な商社サラリーマン。仕事上で暴力団と関わることになり、その暴力団にある日、家族みんな襲われてしまう。過激な暴力シーンの描写もあり、読んでいて辛いと感じることもありましたが、最後は爽快なクライマックスとなっているので、スカッとしました。主人公が会話の所々でギャグを言うのもクスッと笑えて面白かったです。らもさんはやっぱり笑いのセンスあると思いました。
2021/09/11
hope
らもさん、あんた、これはもう、メチャクチャだよ。笑 すごくいかれてて、ほんとにイカしている。車椅子も飲酒運転になるのか? いや、突っ込むところはそこではない。知性とユーモアとバイオレンスと友情。そして強烈な哀愁と猛烈な愛。らもさん18冊目。★★★★
2019/11/08
黒猫
中島らもさんの体験を見事にストーリーに取り入れた作品です。商社で働く順風満帆の男に突然目の前に訪れた不幸。殺人罪でも7~8年で出所する事実に納得せずに自らが司法となり罪人を裁くストーリー。和製ターミネーターみたいな感じで疾風怒濤のごとく物語が進む。やはり主人公はアル中ですが仲間のやっちゃんとガーリックが良い。仲間の大切さをらもさんが書くとこうなるのか。最後、組のアジトに乗り込む時に忌野清志郎の「雨上がりの夜空に」を歌うところでジーンと来てしまいました。あとがきの奥様の言葉にらもさんの苦悩が表れている。
2018/03/25
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