バスジャック (集英社文庫)
バスジャック (集英社文庫) / 感想・レビュー
yoshida
三崎亜記さんの感性から紡ぎ出される7つの短編。不思議と心に残ります。「バスジャック」、「動物園」、「送りの夏」が印象に残りました。「バスジャック」のラストのカタルシスはたまりませんね。「送りの夏」では死者との別れを、残された者が気持ちの整理が着くまで共に過ごせる別荘を描いています。特にお爺さんが真夏にも関わらず、お婆さんに厚着をさせている理由には切なくなりました。死は突然に訪れる。残された者が死を自分の中で受け入れる場所があってもいい。独特の世界観ながらも、読者を惹き付ける三崎亜記さん。他の作品も読もう。
2016/07/02
紫 綺
単行本にて読了。どうやったらこんな発想を思い付くのだろう。有りそうで無さそう、無さそうで有りそうな三崎ワールド。
2015/06/16
*すずらん*
作者の少し温度が低い世界観が好きです。日常から切り取られた世界ではなく、日常の中にある 例えば部屋の隅っこや、電柱の陰、会話が途切れた時のポッカリ空いた空間にある世界。決してリアルではないのに、読了後に ある筈が無いとは断言したくない私がいます。これから私自身が体験するかもと、少し期待している私もいます。いつもは気にもしない、コップの中で溶けかけた氷のコトリという音にもハッと辺りを見回す私。そんな私を ヒヤリとした目をした住人が、注意深く観察している様な気がします。漂ってくる冷気は、きっとそんな世界から
2014/11/24
MURAMASA
ずいぶん前に『となり町戦争』を読んだとき。突拍子もない設定に頼ることなく、それはそれとして淡々と過ぎていく物語の中の日常描写に、いつの間にか取り込まれている自分を感じました。本作は短編集ですが、やはり不思議な設定を持ち込みながらも、描き出しているのはそこで暮らし、生き、死んでいく人たちのありのままの姿です。私が気に入ったのは、「二人の記憶」です。愛し合う二人でも別個の人格であって、すべてを共有できるわけではない。でもだからこそ、わかり合っていく喜びがある。そういうメッセージを感じました。
2011/01/23
ひさか
小説すばる2005年2〜9月号に掲載された7つの短編を2005年11月集英社から刊行。2008年11月集英社文庫化。「二階扉をつけてください」の不条理な世界とラストの落ちが良い。「バスジャック」の誇張された世界も面白い。不思議だけを綴った話が、5つあって、これは、少し食傷気味になりました。
2018/05/27
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