アジア新聞屋台村 (集英社文庫)
アジア新聞屋台村 (集英社文庫) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
高野秀行氏がまだ独身の頃だから、幾分かは旧聞に属することになるが。彼がスーパーウーマン劉社長のもとで「エイジアン」新聞の編集顧問をしていた時の抱腹絶倒のエピソードの数々を綴ったもの。全ページ面白い。高野ファンには強推薦!(もう読んでるか)高野氏のほろ苦い青春時代も語られる。実らなかった恋、社での奮闘のあれこれ。アジアらしいフレクシブルさと日本の常識や合理性を前にして、彼がしばしば矛盾と葛藤に立たされた時の考察もまた秀逸だ。再出発で幕を閉じる最後も爽やかな印象を残す。
2017/11/07
ゆいまある
高野秀行さんの本は、辺境での体験記も面白いけど、東京で関わった人の話が切なくて好き。エイジアンというアジア各国の新聞出してる会社に所属していた時の話。集団行動は嫌いな癖に、責任感が強くて人がいいし、頼られるのが大好きなので、自由気ままなエイジアンの雰囲気最高!と、言いながら自分の気持ちに振り回されて、段々心に澱が溜まっていくまで。そもそもエイジアンが好きだったんじゃなく、劉さんの魅力に引っ張られたんだと思う。そして、朴さんに失恋して情熱も醒めたんだと思う。どうして朴さんと付き合わなかったの〜。
2018/09/17
mr.lupin
のっけから間違えた~ アジアの屋台村、いわゆる食べ物の屋台村での話かと思い込んでいたら多国籍アジアの新聞社の話だった。筆者の高野さんを始め社長の劉さんや朴さんや個性的な人々達も十分に楽しませてくれた。しかしあんなにもいい加減な仕事?で新聞を発行することができるんだろうか?(笑) 一度こんな会社で働いてみるときっと人生観が変わるんだろうな~ ☆★★★★
2019/05/16
yamatoshiuruhashi
高野秀行氏、有名辺境探検家・ライターとなるプロセスで出会った、東京に住む外国人たちが作る新聞の編集顧問となったことから巻き起こり、気付く世界の物語。日本人論らしくない日本人論かもしれない。世界辺境を流離う高野氏ならではの視点で、ヴァイタリティ溢れる日本におけるアジア人の活動の一端が描かれ楽しめると同時に考えるところ多い。
2024/09/20
ホッケうるふ
「異国トーキョー漂流記」が著者の私的外国人見本市ならこちらは業務上アジア人見本市といったところか。東南・東アジア人たちのビジネスパワーに圧倒されるが逆説的日本人論にも読める。そんな中で仕事のできる朴さんとの恋愛未満が切ない。著者と朴さんのようにお互いに思い合っていても日韓関係の根深い溝は完全に埋まる事がないのかもしれない。そして劉さんの猪突猛進ぶりから会社と著者の関係はもちろん会社そのものがいずれ破局を迎えるだろうと身構えて読んでいたが予想に反ししなやかなエンディング。やはりアジア人のパワーは強かだ。
2014/06/23
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