エンド・ゲーム 常野物語 (集英社文庫)
エンド・ゲーム 常野物語 (集英社文庫) / 感想・レビュー
さてさて
『「常野物語」のシリーズ三作目ということで非常に緊張した』とおっしゃる恩田陸さん。そんな恩田さんがこの作品で展開するのは「蒲公英草子」と対比させるかのように現代の都会を舞台とし、登場人物を最小限に絞り、光のあたらない闇に蠢く世界でした。”包む・叩く・洗う”などという抽象的な動詞の一方で『羊羹かパウンドケーキでも切り出したみたいに、綺麗な立方体の形に脳が取り出されていた』と『脳』がこんな形で使われるその対比。動詞は抽象的なのに、名詞は物凄くリアル。実に巧みな言葉の使い分けも含め、強く印象に残った作品でした。
2021/12/31
SJW
常野物語シリーズの第3弾。特殊能力を持つ拝島家の闘いのストーリー。ファンタジーというよりサスペンスかな。誰が味方なのか敵なのか分からないまま話は進み、期待とは異なる展開になる。常野物語の最終話としてシリーズ全体の繋がりが分かるようにしてほしかった。
2017/12/20
しんたろー
シリーズ3作目だが、前作の『蒲公英草子』と同じ作者とは俄かに信じられないような「哲学&文学」が炸裂したSFサスペンス。幾重にもひっくり返る展開に頭が混乱するが、それも楽しいと思える不思議な物語…とは言え「裏返す」とか「洗濯する」という行為(概念?)を「もう少し判り易く解説してくれると凡人の私にもついていけるのになぁ」とも思った。ホラーチックな描写もあって決して退屈しないし、難しく考えないで「恩田ワールド」の流れに身を任すのが、本作の楽しみ方なんだろう…人生や情愛を皮肉ったエンタメ作品とも言えると思った。
2018/11/15
風眠
『光の帝国』の中の一編『オセロ・ゲーム』の続編。裏返すとか、洗って叩いて乾かして白くするとか、アレとか、包むとか、最後までこれらの謎は解き明かされてはいないが、登場人物たちも分かっていないことなのだから、私に分かるはずがない、分からなくていい。登場人物たちがイメージとして作り上げた意識の世界を、行きつ戻りつしながら、騙し合う心理ゲームが圧巻だった。虚構の世界を自分たちの現実として、二重三重と記憶を操作し合う登場人物たち。私が今いる現実は本当にあるものなのかと、足もとがぐにゃりとするような読後感だった。
2012/06/19
ダイ@2019.11.2~一時休止
常野物語その3。本作では「裏返す」とか「洗う」がメイン。それぞれの立ち位置があやふやで予想通り恩田さんらしいもやもや感。
2016/10/22
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