くれなゐ (集英社文庫)
くれなゐ (集英社文庫) / 感想・レビュー
あつひめ
医学部出だけあって、医療系の視点の奥深さで「性」についての描写もいやらしさが薄れてしまうように思うのは私だけだろうか。女には女としてのタイムリミットがあると常々感じていた。それはやはり子宮を含めた機能の衰えもあり心身共に不安を私自身も抱えていた。子宮筋腫と言う最近は患者数も増加している病から一転しての子宮摘出。人生のどん底に陥るような気もするけれど、主人公は体の変化ばかりを気にしている。自分のこれから先の人生、それが「性(セックス)」そのものでもあるかのように。新聞連載作品だが、女性達はどう感じただろう。
2012/12/07
あおい
かなり長い割にはすらすら読めた。渡辺淳一のことをよく知らず堅苦しい文体なのかと思っていたら予想に反してかなり女性的。内容は、女性心理が巧妙に描かれているといえば描かれているのだが、偏った女性像というか、少なからず男尊女卑的なところを感じてしまった…20年以上前の本なら仕方ないのかもしれないが。
2019/03/26
koguma
著者の作品は、「シャトウルージュ」に続き、二冊目。古い作品なので仕方がないといえばそれまでだが、女性差別も甚だしいと感じてしまった。30や40で既にお婆さん?何度もそういう表現が作中に出てきて、気分も悪くなるし、いきなりレイプって?はぁ??私には、著者がこの作品で伝えたかったことがわからなかった。
2014/05/11
さとむ
ひさしぶりの渡辺淳一。「愛の流刑地」が新聞連載されていたとき、毎朝、駅のホームで読み、ぼんやりしながら会社に向かったことが妙に懐かしい。巻末で角田光代も解説しているように、とても30年前の作品とは思えないし、一般紙に連載されていたことに驚く。男と女をテーマにここまで書けるのは、氏をおいてなかなかいないのでは…。さすがです。
2013/12/07
世界
主人公は帽子デザイナーの木之内冬子。 彼女は28歳の時子宮に筋腫が見つかり手術で子宮を摘出する事になる。 かつての愛人 貴志とよりを戻そうとする過程で 様々なインモラルな性体験をしていく。 その経験を通じて 冬子が「紅」のように燃える 有様を描いた一冊。 「子宮を喪った女」は 女 たり得るのか。 果たして冬子は「女としての悦び」を取り戻す事が出来るのか。 複雑なセックスに対する男女の価値観の違い 理性があるが故の性への葛藤 それら繊細な描写も書き切る鬼才 「失楽園」の渡辺淳一らしい異色の大作。
2020/03/09
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