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異国の客 (集英社文庫)

異国の客 (集英社文庫)

異国の客 (集英社文庫)

作家
池澤夏樹
出版社
集英社
発売日
2009-08-20
ISBN
9784087464689
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異国の客 (集英社文庫) / 感想・レビュー

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ミカママ

家族を引き連れて(沖縄から)フランスの小さな町に移住した夏樹さま。なかなかな冒険だと思うが、やはり言語含め文化に博識な著者だからできたことなのかと。池澤版『南仏プロヴァンスの12か月』(かなり好きで何度も読み返した)かと思えば、そこは著者の知識が邪魔をする。当時のアメリカを含めた世界情勢から、近代史・現代史、もちろんフランスと日本の比較文化。わたしもドイツに(結婚して)移住したいなぁと夢見たこともあったが、今はアメリカでよかったかなぁと思っている。ヨーロッパはまた、別世界という印象。

2022/10/24

ヴェネツィア

池澤夏樹氏がパリの南南東50kmに位置するフォンテーヌブローに移り住んで14ヵ月。その間の彼の思索が綴られる。当時、この人は60歳だったはずなのだが、常に全方位に開かれた感性の瑞瑞しさは、天性のものであると同時に、それが自覚化、意識化されたものであるからだろう。本書の中で、彼は何度もフランスと日本を比べないと自戒しているが、にもかかわらず漏れてしまう日本の今に対する嘆きのようなもの。この人のエッセイは、須賀敦子さんのストイシズムをもう少しマイルドに、そしてその分温かみを増したような文体というべきか。

2015/04/25

chantal(シャンタール)

読んでいてとても心地の良い文体、とても相性の良い作家さんと出会えると本当に嬉しい。今更だが、池澤さんの作品に出会えて良かったと、心から思う。フランスに一家で移り住んだ池澤さんの「異国の客」としてのエッセイ。フランスの田舎町の様子や美味しそうな食べ物だけでなく、当時の時事ネタを語る中で彼の思想的なものを伺い知ることが出来る。外国にいるからこそよくわかる日本の長所や短所。自分と違う物を受け入れる寛容さや古いものを大切にする心、そう言ったものを誰もが持つことが出来たなら、どんなに素晴らしい世界になるだろう。

2021/01/19

piro

2004年から05年、パリ近郊フォンテーヌブローへの移住1年目に書かれたエッセイ集。現地での出来事を契機とした様々な考察が興味深い。普段は官僚に国の運営を任せている大衆が「自分たちが国の本来の主人だということはよく知っているから、納得できない時は立ち上がって異議を表明する。」我が国と比べて社会がより成熟している様に感じます。勿論日本と比べて不便な面も多々あると思いますが、大衆が物事を深く考え、堂々と意見を主張できる社会には健全さがある。個人商店やマルシェが元気で、普段から豊かな食材が手に入るのも羨ましい。

2024/11/16

おにく

池澤夏樹さんの著書を読む前に、まずはエッセイを。このエッセイは2004年から、それまで移住していた沖縄を離れ、パリから四十キロほど南下した緑豊かな街、フォンテーヌブローに移り住んだ生活をつづったエッセイです。日々の暮らしや子供の学校行事の話題や、人種や国境という概念、歴史問題まで、作者の造詣の深さを感じます。やはり地形に隔たりのない国々の空気感は、海に囲まれた島国に住んでいると分かりづらいですけど、ロシアとウクライナの領土問題など過去の話ではないと感じます。長編を読む弾みにもなり、手にとって正解でした。

2023/08/13

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