家日和 (集英社文庫)
家日和 (集英社文庫) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
6つの短篇を収録。タイトルの『家日和』は、全体を統括するもので、いずれもそれぞれの家庭の物語が展開する。最後の「妻と玄米御飯」は、作家自身の家庭を語ったかに見せるフィクション。案外これがリアルだったりするかも。どの作品も、それまでの日常に1点新しいものを入れると、各主人公や周縁の人々のそれまでは隠されていた本質の一端が露わになるというスタイルをとる。基本的な構造はすべてこれでありながら面白いのは、人物造型が活き活きしている故であろう。それがまた奥田英朗の真骨頂でもある。
2021/09/23
ehirano1
著者の「無理」、「最悪」、「邪魔」というキングオブ“不穏”とも云うべき作品が凄く印象に残っているので、なんかこう「まぁ、いいかぁ」と云うところに全てが落ち着くストーリーには驚かされました。各々の主人公の境遇は傍から見るとあまりよろしくないのですが、ちっとも辛そうではないのです。そして、各々が妥協点というかセカンドオピニオンというか、こういう考え方や捉え方もあるんだよ、と読者に言っているような感じでした。人生心の置き所とは中村天風の言葉ですが、ホントそうですね。
2017/07/15
再び読書
流石の奥田氏の短編集、心地よい読書の時間を過ごせます。ネットオークションを題材にした「サニーデイ」。倒産を気に主夫となりながら、それを面白く生きてしまう「青山」。離婚したのにより人生を楽しんでしまう「家においでよ」。すこしエロイ「グレープフルーツモンスター」。新しい仕事にいとも軽がると挑戦してしまう夫に、いらいらつくと同時に仕事に閃きを得られる嫁を描いた「夫とカーテン」。ロハスに不満を持ちながら、それをぶつけられない小説家の夫は「家と玄米ご飯」。「延長戦に入りました」から始まった益田さんの漫画も秀逸です。
2013/05/22
にいにい
「我が家の問題」と対の作品ということで、読んでみた。こちらを先に読むべきだったかな。家族、特に夫婦の微妙な行き違いと何かしらの絆を感じる六篇の短編集。「我が家の問題」より、こちらのストーリーの方が好きなものが多いな。「ここが青山」と「夫とカーテン」が特に面白かった。栄一みたいなキャラいいなぁ~。「妻と玄米御飯」が、「妻とマラソン」となるのも興味深い。これは、奥田さんの体験を元にしてるのかな?後書きにあった「延長戦にはいりました」も読みたいな。家族も色々あるけどどうにかなると思わせてくれる一冊。
2014/09/17
射手座の天使あきちゃん
奥田さん十八番(オハコ)の短編集です。 いるいるこんな人(笑)とか聞いたことあるその話(笑)とか思わず身につまされる話とか・・・ 夫婦や家族の日常を丁寧にスケッチして、ちょっぴり笑を含ませたお話です。 でも最後は「よーし、元気出してやるぞぅ!!」って背中押される感じがして嬉しい!! v(^_^)
2010/08/31
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