平成大家族 (集英社文庫)
平成大家族 (集英社文庫) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
長女は破産、次女は離婚で次々に実家に帰ってくる。とうとう9人が一つの家に同居することに。みんなそれぞれに葛藤を抱えてはいるのだが、その中にあってご隠居のタケ、ヒッキーの克郎、身重の次女の友恵は、どこか飄々としたもの。ドタバタ喜劇になるのかと思いきや、そうはならない。中島京子の物語るテンポはひじょうによく、しかもこの家族の人たちを見る目が限りなく優しい。大団円で問題がすべて解決したわけではなく、あくまでもそれなりになのだが、そうした結末こそがこの家族には相応しいようだ。
2021/01/28
yoshida
温かい家族小説。ひきこもりの長男や、破産して実家に戻ってきた長女夫婦と孫。そして、離婚して戻ってきた妊婦の次女。4人で暮らしていた緋田夫婦は、一気に8人の大所帯になる。描きようによっては、いくらでも暗く出来るのだが中島京子さんは、明るく軽妙に大家族の姿を描いてゆく。そして、一度は集まった家族もそれぞれに光明を見出だし、緋田家から再び巣だってゆく。個人的には株のトレーダーをしていた長男の克郎に訪れた幸運が、本当に良かったと感じた。人生に起きる物事を多面的に見れば、絶望にも希望にもなるのだ。素敵な作品です。
2016/07/23
おしゃべりメガネ
『平成』最後の本日に読了できて、本当に良かったと思えるステキな作品でした。『東京バンドワゴン』シリーズが好きな方にはオススメできる内容かなと。『東京〜』ほど平和?ではないかもしれませんが、タイトルにあるように大家族をテーマにした作品で、笑いあり涙ありと見事なヒューマンモノです。家族それぞれの事情や目線から展開される連作な構成は読みやすく、テンポもよく飽きないですね。話によってはちょっとシリアスなモノもあり、ただ感動するだけでは終わらない内容です。人生色々ありますが、やっぱり健康で平和なのが一番ですね。
2019/04/30
冴子
中島さんらしい優しい家族物語。元歯科医で都内の一戸建てに住んでいる夫婦の下に諸事情により戻ってきた娘たち家族。自分に諸事情があっても、家族を思いやる気持ちが胸を熱くする。長女の夫も面白い人物だし、引きこもりの長男も心優しい。読み終わってほっこりした。
2017/01/02
青葉麒麟
当事者にとってはたまったもんじゃないかもしれないけれど、大家族って良いなって思う。一難去ったらまた一難の日々が面白い。タケが主役の『時をかける老婆』が一番ハマった。家族の晩餐のガヤガヤした雰囲気が好き。ちょっと『東京バンドワゴン』に似ている。
2013/09/08
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