九時まで待って (集英社文庫)
九時まで待って (集英社文庫) / 感想・レビュー
優希
面白かったです。ほろ苦い恋の物語が華やかな都会によく合います。甘えるのが上手い男との生活はやがて澱を感じるようになっていくのが切なさすら感じました。そういうときに限り、他の男がアプローチしてくるものなのですね。心の揺れ動く様子が伝わってきます。徐々に食い違う関係の中で、最後に出す結論がズキンときました。自分の中での訣別が、前に進むための答えだったのかもしれません。
2018/01/04
とも
稀があまり好きになれんかったなぁ。雄としては正しいけど、人としてはどーなん?って(笑)自分の才能に酔い、献身的な蜜子をおざなりにし過ぎやろー。魅力ある男なんやけど、同じくらい魅力のある蜜子が愛を注ぎ込む程の男か?まぁ、結局は心が離れていってしまうので、蜜子はやはり馬鹿な女じゃなかった訳だ。 田辺さんの書く男と女の関係は甘く、苦く、寂しく、そして愉しい。 あぁ、蜜子には幸せになってもらいたいなぁ。
2017/09/03
June
蜜子と同棲している稀は作家として成功。売れっ子になるにつれ何かが変わっていく。田辺さんの描く会話の掛け合いは絶妙だ。二人のテンション、はずむ雰囲気、そして一言でどん底へ落とされる気持ち、が体感できてしまう。そして二人だけに通じる発明語、「いとこする」とか「キャーといこか」「雀の法事」などがお互いの距離感を匂わせ、話のエッセンスにもなっている。ひとの気持ちは移ろいやすく、儚い。田辺作品はその現実に主人公の女性が一喜一憂しながら、最終的には強く生きていくだろうと思わせてくれ、作者にエールを送られている気分。
2014/08/09
東京擬態~tokyoGitai
表紙の女の子=蜜子が可愛い。流石はおセイさん…オモロイ!共棲みして五年。心も身体も悉知した蜜子と稀。どぎつい大阪弁も二人の仲の良さだからこそ。しかし、作家として売れっ子になった稀は蜜子のことを隠すようになる。二人に隙間が出来、蜜子は心に澱を感じ始める。…軽妙な大阪弁でスラスラスラと読み易くかと云って軽薄と云うのではない。寧ろ、重厚。おセイさんの描く女性は、美しく可愛く柔軟で強かで芯の強さがある。その心の機微は濃やかで“たくましい”。それに戦きながらも私は小気味良さを感じる。私の知らない大人の世界。眩い…
2013/06/20
wonderhoney
マレに終始イライラ。彼を好きで一緒にいる蜜子にもイライラ。でも一緒にいてしまう気持ちもわかる自分にもイライラ。最初から最後までゆったり楽しめた。
2018/09/24
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