叡智の断片 (集英社文庫)
叡智の断片 (集英社文庫) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
池澤氏が英米紙のコラムなどから拾ってきた名言集に寸評を加えたもの。いずれもなかなかユーモアとウィットに富む。東欧のアネクドート風の辛辣な政治風刺あり、人生の機微を短い言葉で巧みに語ったものありと様々なタイプを集めている。それを意図していたわけではないが、結果的にはジョーク集の観を呈することになった。いずれも面白く読めるし、どれが一番という点では、かなり意見が分かれそうだ。私のベストは旧東独製の車、トラバントをからかったくだり。問・トラバントの新車マニュアルにはどんな情報が含まれているか?答・バスの時刻表。
2015/07/29
KAZOO
この作品集が月刊誌に連載されていたとは思いませんでした。池澤さんにしては若干毛色の変わった作品であると思いました。通読するのではなく手元において時たまどこでもいいからぱらぱらとめくる感じで読むような本だと思いました。やはりかなりの本を読み込んでいるという気がします。紹介されている本をいくつか読みたい気になりました。
2015/09/30
スプーン
エスプリとウィットに富んだ名言紹介本。切れ味が鋭く面白い。ブラックな笑いがチクリとくる。英米の言葉が多いのが玉にキズか?
2019/08/12
ヨッフム
政治、科学、芸術、自殺、セックス、変わったものならジャズやマリリン・モンローなど、テーマ別に、古今東西、あらゆる名言を引用して、頭を楽しませてくれる一冊。例えば、戦争に関して「男が戦争好きなのは、その時だけ立派に見えるからだ。女に笑われないで済む唯一の機会だからだ」成功に関して、「成功は生活を楽にしてくれる。でも、生きることを楽にはしてくれない」など。小気味の良いユーモアとともに、頷ける名言が多く、著者はあくまでナビゲーターとして、前に出過ぎない構成も潔い。一題につき、数ページなので、サクサク読めました。
2015/01/08
吟遊
日本には、ユーモラスまたはアイロニックな気の利いたひと言、格言のようなうまい言葉を言う習慣も、そういうもののアンソロジーもない。そこで、英語圏の引用句辞典をもとに池澤夏樹が自分で編むことにした、という本。文化のちがいに触れられるとともに、ユーモア文化を名言集のように楽しめる極上の一冊。
2017/05/28
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