辺境中毒! (集英社文庫)
辺境中毒! (集英社文庫) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
人はわずか7,8ヶ月間、異なった環境に身をおいただけで価値観が変わってしまうものなのだろうか。それがシカゴや、あるいはパリなら、そこでよほどのことでもない限り、おそらくはそんなことにはならないだろう。しかし、ミャンマーの辺境―反政府勢力が支配するゴールデントライアングルの村―なら、そんなこともあるかも知れない。そこに滞在していたのが、辺境旅の玄人ともいうべき高野秀行にしてもである。本書は『アヘン王国潜入記』のいわば補遺篇+書評といった構成で、やや寄せ集めの感も否めないが、前半は、スリリングな冒険行だ。
2014/06/29
ゆいまある
前半はエッセイで、後半は対談と書評。旅が好きな人は思考が前向きだが、私も酷い目に会うと「ネタが出来た」と心のどこかで喜んでしまう旅好きである。大槻ケンヂとの対談で、ムーにハマった人はその後BURRN!に行くとあるが、小学校高学年からムーにハマり(高野さんより早熟)、中高とBURRN!読んでた私は非常に親近感を覚えた(要は中2病)。宇宙の法則でもあるのかね。本好きの高野さんのおすすめ本が沢山出てくるのも楽しい。人の言うことを鵜呑みにせず、流行りにも流されず、自分なりに考える視点に共感を覚えた。
2018/11/26
ホークス
元本は2008年刊。アジア探検の裏話、対談集、エンタメノンフ書評の構成。角幡唯介氏との対談が面白い。角幡氏は北極に、高野氏はソマリアに行く直前。戯れたり張り合ったりする雰囲気が楽しい。「世界屠畜紀行」の内澤旬子氏との対談も、マニアックな二人のぎこちない共感ぶりが可笑しい。著者は旅先でのトラブルこそ迫力ある文章の原動力だと言う。旅人と現地の本性がぶつかり合うからで、TV番組はトラブルを排除する限りダメとの事。いちノンフィクション好きとして、強い探究心のある本は、科学系も芸術系もエンタメノンフに含まれると思う
2021/02/27
ワニニ
Kindle日替わりセールでサンプルを読み、つい惹き込まれて(巻き込まれて?)購入。何だか凄かった。高野さん初の人には向かない等のレビューもあったが、そんなことはない。十分面白い。いわゆるバックパッカーなんて甘い、冒険というのか探検というのか無謀な体当たりというのか分からない、とんでもない場所への旅話、辺境に持っていく本の書評や対談等盛り沢山。あくまでエンタメ姿勢なノンフィクションというセンスが、イイ。そのあっけらかんな感じが、更に超然とした雰囲気さえ感じる様にも… 自分では絶対行かないから、他も読もう。
2016/09/29
ひつじとうさぎ
エッセイに、各界の旅マニアたちとの対談、辺境本の紹介と盛りだくさんな一冊。エッセイでは、密入国、不法滞在を経て、ミャンマーから日本に帰り着くまでのひと騒動「アヘン王国脱出記」が面白かった。また、高野さんの紹介されている本がどれも面白そうで、読みたい本がまた増えてしまった。まずは積読から「アヘン王国潜入記」を楽しもう。
2015/12/12
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