ハッピー・アイスクリーム (集英社文庫)
ハッピー・アイスクリーム (集英社文庫) / 感想・レビュー
優希
切なくてぎゅーっとなる青春が詰まっていました。女子高生のリアルさが心に突き刺さります。みずみずしい感性が愛おしい。揺れる気持ちを鮮やかに切り取っていて思春期のときめきが伝わってきました。巻末の短歌もきらめく言葉で詠まれています。宝石箱のような1冊でした。
2016/03/15
masa@レビューお休み中
女子高生の日常を描いた5つの物語は、失恋・不安・挫折・嫉妬・希望といった、さまざまな状況や感情が入り混じったものである。物語のあいまあいまに、短歌がはさまる。まるで、そこが区切れのように、息つぎをするかのように行間にさりげなく挿入される。そこには、女子高生のもつさまざまな悩み、背伸びすることのない等身大の想いが歌われている。あぁ…もしかすると、その昔、歌を詠みあっていた貴族たちも、こうやって呼吸をするように当たり前のように歌を作り出していたのかもしれない。そんなことを、加藤千恵の短歌を読んでいて感じた。
2012/04/16
ひめか*
全て恋愛だと思ったら、友情を描くお話もあった。大学への憧れの描写すごくわかる。著者が当時を思い出しながら書いてるのかなと思いきや、17歳の時の作品なのね!道理で高校生の心情をとても理解してる。『十八歳で夏』が特に好き。恋って訳ではないけど、見知らぬ人とのこういう出会いもいいな。『不幸な場所』は思春期女子の友達同士の関係や心情がとても上手く表現されてた。あるあると思いつつ、若いなと思いながら読んだ笑。『いつか話す手』アリーは良くないよ。二股かけるなw加藤さんの短歌初読。短歌というより物語の一文のようだった。
2015/07/25
太田青磁
18で夏〈歩道橋に立って遠くを眺めてた 空は近くて遠くは遠い〉いろんなものを抱えなきゃいけない気がする時期。あるべきものはそこにあるという事実に気づけるのは素敵だ・不幸な場所〈いつどこで誰といたってあたしだけ2センチくらい浮いてる気がする〉感性がほんの少しだけ鋭ければ、わずかに浮いてる気がするのかもしれない。2センチくらいという絶妙な距離感がなんとも言えない感じ・いつか離す手〈日常は淡々としてあの人はあたしのものにはなってくれない〉優柔不断な態度に流されつつも、手を離すことができたら一歩大人になるのかな
2012/01/31
春が来た
日々、感情の小さな爆発が起きる。その破片が二度と戻らない青春ってものを輝かせるのだろう。今となっては、思い出すことはできても、脚色されたり削除されたり都合よく変化させてきたから、やっぱり同じ温度にはなれなくて。宝箱を開く私の鍵は錆び付いてしまったみたいだ。それなのに短歌とは不思議なもので、短い言葉の羅列の中、錆び付いた鍵に一滴のオイルを滲ませるかのような力がある。10代の私なのか今の私なのかいつの私なのか分からない私が言う「ハッピー☆アイスクリーム」【夕立が街ごと洗い流すのをどこかで待っていたのだと思う】
2020/04/29
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