追想五断章 (集英社文庫)
追想五断章 (集英社文庫) / 感想・レビュー
ミカママ
こちらもあっという間の一気読み。米澤さんのテンポがわたしに合っているのだと思う。なんと5つの作中作品がボーナスとして読める。そしてラストはまさかの…。巧いなぁ。
2023/03/26
サム・ミイラ
りドル・ストーリーとは結末のない物語。結末は読者の想像に任せるという事。この追想五断章はまるでそれを逆手にとったミステリーである。過去に人が亡くなりそれが事件だったのかどうかを、失われた五つの掌編を探し辿る展開だがもちろん殺人などは起きない。だがしかしそれ以上に読む者を惹き付けてやまない力がこの小説にはある。帯には「大人の本格ミステリ」と記載されているがまさにその通り。この作者の中で最も渋い光りを放つ作品である。物語はいやが上にもロス疑惑を連想させ主人公の身の上に自分を重ねる。彼は私自身だと思った。
2016/06/12
青乃108号
古書店に居候している主人公が美女から依頼を受け【リドルストーリー】五話の行方を探す物語。嫌いな部類ではなかったが、読了後、何の感想も沸いて来ず。かれこれ15分ほどスマホの画面を睨んでいるがやはり何の感想も浮かんで来ない。五話がとんとんと、あまり苦もなく見つかる事と、五話の【リドルストーリー】がいずれも興味を惹かない事、その為か物語的に平板で盛り上がりに欠ける事、ありていに言うと面白くなかった。このところ色々良い本を読んで目が肥えたのかも知れない。時間潰しに読む分には良いのだろうが、合格点はつけられない。
2022/02/08
射手座の天使あきちゃん
ある女性から父の遺作5短編の捜索を依頼された古本屋の居候 探し当てた「結末のない物語(リドルストーリー)」と女性が持っていた結末をつなげると、20年以上前の未解決事件「アントワープの銃声」の容疑者だった父親の真実の声が聞こえる筈 父が伝えたかったのは、娘への心遣いか、それとも事件の真相の吐露か? 幾重にも織り込まれ計算しつくされた仕掛け、そして最後のふか~い余韻 もう米澤さんの魅力満載ですぅ! この深いコクと香り、皆様も是非ご賞味あれ! (^_^)v
2012/12/02
yoshida
伯父の経営する古書店に居候する菅生芳光。彼は北里可南子という客から奇妙な依頼を受ける。それは可南子の亡き父・北里参吾の残した五つの掌編を探すというもの。破格の報酬にもつられた芳光は掌編を探し始める。そこから浮かんできたのは、参吾が妻を殺害したと疑われた事件「アントワープの銃声」だった。五編がリドルストーリーであり、結末が作品に書かれていないことも物語に大きな意味を持つ。作品の構成、暗澹とした雰囲気、そしてリドルストーリーのトリックと明かされる答えに息を飲む。序章の真意を知り戦く。実に堅牢で読ませる作品。
2018/01/09
感想・レビューをもっと見る