無影燈 下 (集英社文庫)
無影燈 下 (集英社文庫) / 感想・レビュー
カーミン
1971年頃執筆された医療小説。大学病院のエリートの地位を捨て、個人病院のドクターになった直江。孤高を引きずり、それでいて、群がるオンナたちを拒まず受け入れる。さらに、密かに麻薬を打っているフシもある。看護師の倫子は、それらを知りながらも愛し続け、やがて直江の子を身籠る。自分の死というものに臨もうとする直江。私からすれば、エゴイストにしか思えなかった。
2020/08/17
どぶねずみ
医者は自分の死期をよく知っているだろうが、自分の命があと3ヶ月で自殺したくなるものだろうか。なぜ、院長だけにでも状況を伝えなかったのだろうか。誰にでも伝えていい内容ではないが、一人で抱え込まなくてもよいと思う。しかし、直江がこれまで優秀であったのは、自分の死期を知っていたから、患者の気持ちをよく理解していたのであろう。だから患者の気持ちがわかるというのも皮肉なことである。
小豆姫
う~む。これが、渡辺淳一先生の描く小説世界なのですね。性描写は文学的で美しい。直江医師は優秀な人なのかもしれないけれど、最後の選択が自分勝手過ぎて… 女をなんだと思ってるのでしょう。人間的には惹かれませんでした。
2021/05/31
takehiro
生きる期間より死ぬ形が大切という直江医師の考えは、確かにそうかもしれないと思った。全力を尽くしたけど助からなかった、という事なら患者もその家族も納得できるのかもしれない気がする。
2021/04/25
あの
宝塚で舞台化していたものを見てから、読んだのでなんとなくの結末は知っていたけれど、読んで良かったと心から思える本でした。倫子さんのように、どんなことをされても直江先生のことが好きな気持ち、まだそんな恋愛はしたことがないけれど、わかる気がしました。だから、旅行に誘われた場面はすごく嬉しかったです。そこからの下りは、涙無しに読めませんでした( ; _ ; )
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