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熱い風 (集英社文庫)

熱い風 (集英社文庫)

熱い風 (集英社文庫)

作家
小池真理子
出版社
集英社
発売日
2012-08-21
ISBN
9784087468670
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熱い風 (集英社文庫) / 感想・レビュー

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佐島楓

人間は、どうしたってひとりだ。どんなに愛し合っている相手であっても、心の底までひっくり返して見せ合うことはできない。でも、一瞬、通じ合っていた確かな瞬間を心の中にとどめておければ、もしかしたら一生、それだけで生きていけるかもしれない。

2015/02/20

キムチ

たまには・・と思い手に取った。いかにもの小池調、軽やかに 美しい抒情的言葉が躍る。何とか最後まで読んだが、中盤は飛ばし読み。「熱い」っていうが何が・・と虚しさが脳内を飛び交う?デルフト、運河、そして光と風が流れるとくればフェルメール!そこで繰り広げられた絵画のような恋愛。だが読み手からすると遼平が美樹に心を溶け込ませていたかと問われりゃ否という感触。なんか彼女の一人相撲ならぬ独り耽溺。小池氏ものを「面白い、嵌る」と感じていた頃の作品群が持っていたひんやり感が懐かしい。

2014/09/11

ぐうぐう

不在についての物語。『熱い風』の中で愛し合う男女は、小池真理子の小説にはめずらしく、不倫関係にあるわけではない。仕事の都合で東京とヨーロッパ、別々の場所で暮らす二人を分かつのは地理的な距離だけであり、そこに疚しさも後ろめたさもなく、存分に愛し合える環境に二人はある。けれど、突然に男は異国の地で亡くなる。一年後、女は男の死の意味を確認するために欧州へ向かう。そこで待ち受けていたのは、愛する者の不在を再確認することではなかった。愛する男の中で、私こそが不在ではなかったのか、という疑惑である。(つづく)

2018/10/26

エドワード

美樹はアムステルダムにいる恋人、遼平と携帯電話で話した。彼は突然、薬の大量摂取で自殺する。「なぜ私を残して死んだの?」信じられない。携帯電話は空間を飛び越える。今にも遼平が現れるような感覚が消えない。墓参りをしても消えない。美樹はアムステルダムへ向かう旅に出る。パリ、ブリュッセル、ロッテルダム。初めて目にする彼の足跡。他人の目には優雅に映る日本人女性の一人旅。デルフト焼き、フェルメール、レンブラント。美しいオランダの風景。旅する美樹の心を癒し、生きる希望を蘇らせたのは異国の人々とのふれあいだった。

2014/06/11

かこりむ

亡くなった恋人を追い求めて、旅をする主人公。でもその根底にあるのは彼への疑惑・・・、何とも切なくて悲しい物語だった。人を好きになるっていうのは、その人のすべてを知った上でのことではないと思う。旅の最後に思いがけないサプライズがあり、主人公は恋人の愛情を確信するに至る。恋人の心の闇は計り知れなかったけど、それで充分だっただろう。主人公のその後が気になる。解説の「人生の重荷のように思われた喪失は、やがて、あなたの胸を一生飾り続ける宝飾品になる」、この言葉を信じたい。

2013/06/21

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