床屋さんへちょっと (集英社文庫)
床屋さんへちょっと (集英社文庫) / 感想・レビュー
yoshida
宍倉家の父と娘の日常を描く連作短編集。宍倉家は家族が毎日を誠実に生きている。孫の勇も誠実かつ純粋な少年である。殊更に大きな事件が起きる訳ではない。それでも宍倉家の葬儀で彼らがひたむきに、誠実に生きており、周囲からどれだけ愛されていたかが分かる。静かに淡々と、しかし微笑ましい宍倉家の日常が感じられる佳作と感じた。
2015/05/29
優花 🍯モグモグ
久しぶりに山本さんの本を読んで、「やっぱり山本さんの作品は好きだなぁー」と感じました。短編ではあるけれど、そのなかには家族の歴史がぎっしりと詰まってました。心が温まるだけではなく、仕事に取り組む姿勢や情熱、正義感、読んでいて前向きになる作品でした。
2016/02/21
ユザキ部長
舞台は山本さんが用意したフツーの床屋さん。「この先何が起こるかわからない、その不安に打ち勝つためには今をがんばるしかない」いつも励ましてくれた。「おい泣くな、笑え笑っておくれ」そして「今日一番おかしかった事を思い出せよ」自分では特徴のない男といっても私と母さんから言わせれば物真似の的。孫からしたら「かっこいいおじぃちゃん」普通の人が真面目にコツコツと生きた軌跡がある。
2017/03/13
さおり
ちょっとね、泣けた。山本幸久さんは何冊か読んでてどれも好きなんだけど、私どうしても「莫迦」にひっかかっちゃうんですよねー。私が「ばか」と書くとしたら、1「ばか」、2「バカ」、3「馬鹿」って感じかなと思うんです。「莫迦」はマイナーじゃありません?でも私が読んだ数冊は、どれも「莫迦」なわけですよ。なんか理由があるんですよねぇ、きっと。気になるーーー。
2015/04/07
おかむー
泣けるとまでの感動はない、ほっこりとなるまでの柔らかさでもない、ただどこか懐かしいような、なんか色々しょうがねえなと苦笑してしまうような嫌らしくない居心地の悪さという感触。『よくできました』。主人公の勲は団塊の世代あたりか、孫と自分の入る墓を下見に行く物語に始まり、一話づつ時代を遡って勲の人生を描いてゆく連作短篇。製菓工場の二代目社長として先代と比べられながらも会社を潰してしまった過去、気の短い娘を軸とする家族との関係、そしてキーポイントの床屋。スッキリはしないけれど不思議な余韻を残す佳作。
2015/07/18
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