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家鳴り (集英社文庫)

家鳴り (集英社文庫)

家鳴り (集英社文庫)

作家
篠田節子
出版社
集英社
発売日
2012-09-20
ISBN
9784087468854
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家鳴り (集英社文庫) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

7つの短篇を収録。解説の菊地秀行氏はHORRORだというけれど、これらはけっしてホラーなどではない。むしろ限界小説とでもいうべきもの。日常の中で、ある種の限界に直面した時の振る舞いを突き詰めて描いた作品群。いずれも、誰もが向き合う可能性のある現実であり、したがって他人事と傍観してはいられないものばかりだ。篠田節子氏のストーリーテラーとしての面目躍如たる力作ぞろい。冒頭に「幻の穀物危機」を置き、最後に「青らむ空のうつろのなかに」を配する短篇の配列もまた絶妙だ。「物語る」とは、こうした営為をこそいうのだろう。

2018/08/23

gonta19

2012/9/20 Amazonより届く。 2021/5/31〜6/2 ホラー短編集。「幻の穀物危機」、「やどかり」、「操作手」、「春の便り」、「家鳴り」、「水球」、「青らむ空のうつろのなかに」の7篇。どれもある種の狂気にかられた人の話。やはり一番恐ろしいのは、人の心だなぁ。

2021/06/02

absinthe

怖くて面白い短編集。ヒトコワ系で超常現象は出てこない。良い小説だと思うときは、人間てこういう風にできてるんだよなぁと感じられたとき。一見善人から、エゴイズムや残酷さが垣間見えるとき。しかもそれが特殊例ではなく、どこにでもいそうな人に少しずつ垣間見える。心からの悪意はなくても、こういうリアクションはするよね。どれも良かったが、表題作の他、『やどかり』『操作手』『青らむ空のうつろのなかに』が気に入った。この著者の特徴は、小説のテーマを暗喩するわかりやすいシンボルが登場すること。

2024/07/30

タイ子

7編からなる短編集。ホラーと謳ってはいるが、その系統でもないような。だけど、どれもぞわりとする怖さはありま す。人間の深層心理に蠢く闇が時としてむっくりと現れる、そんな話です。母親を介護する嫁、息子が介護ロボットを使う話は遠くない将来に警鐘を鳴らすみたいで怖さより切なさがきましたね。表題の「家鳴り」は、忙しい妻の為に料理を作ることに味をしめてどんどん作る夫、それをどんどん食べ尽くす妻。結果、妻は太るけど彼女の心の中は…。人間の感情を良くも悪くも押し広げて読ませる筆致はさすがです。

2019/02/08

アッシュ姉

読友さんのレビューに惹かれて、久々の篠田節子さん。様々な出来事から理性を失った人々の何とも言えない怖い話。ぎゅっと詰まった後味濃いめの短編7編。身勝手で軽はずみな行動から身の破滅の危機に陥る男の心理描写が見事な「やどかり」と「水球」が面白かった。一番恐ろしかったのは「幻の穀物危機」。シェスタの件は許せない。同じことが起きたら私も理性をかなぐり捨てるだろう。ちょっと気分が塞いでしまったが、「春の便り」で少し救われた。真っ白な羊ほともある犬って表現が好き。モフモフしたい。

2015/07/30

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