カオスの娘 (集英社文庫)
カオスの娘 (集英社文庫) / 感想・レビュー
ちぇけら
魔王子の霊が跋扈する街で、少女の涙が流れる音が聞こえる。救われることのない絶望に巣食われ、絶望がより恐ろしい何かに化けるまで待つしかない孤独を知っているか。男たちの優しいことばは魔の手のカモフラージュだ。信頼できるのは復讐という2文字だけで、自分を守るための大量のアドレナリンによって消された記憶が混濁して苦しい。薔薇の棘に毒があったらどれほど美しいだろうと思う、その夜はテロリズムの前夜であった。生きろと叫んでセンセイは爆ぜた。愛なくして救いはない。誰かを守り抜こうとする思いが、かき消されることのないよう。
2021/01/09
うらなり
スピリチュアルミステリーと分類しほしいと著者は語る。国際石油資本が政治と結びついて司法も機能しない現状にどう立ち向かえばいいのか。国家権力の腐敗はローマ帝国時代からの人類の永遠のテーマで、著者はシャーマンを復活させて、それと戦う第二弾を書いてみたいと後書きにある。できれば読んでみたい。
2020/06/20
葉芹
本を整理していて読んでしまった、また。真理子が魅力的でナルヒコも面白い。島田さんに出てくる女の人は絶世の美女が多いんだよなあ…
2013/10/21
ララ♂
読了
2024/01/14
味読太郎
シャーマンの血を受け継ぎ、予知能力を持つナルヒコ。父を殺され、監禁され、鋭利な殺意の目をした'カオスの娘'。そして、癌に犯され最期を少女のために使う大学教授真田。それぞれ境遇の違う3人はそれぞれの絶望に出会い、厭世的である。物語の展開、読みやすさなどはよりエンターテイメント性を帯びているが、台詞や描写のロマンチックさやいい意味での気取った言い回しは島田雅彦の文章であり、語りであるし、物語とはべつの面白さも持つ。
2015/02/18
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