鉄道員(ぽっぽや) (集英社文庫)
鉄道員(ぽっぽや) (集英社文庫) / 感想・レビュー
zero1
【あなたに起こる やさしい奇蹟】浅田節に泣く!直木賞を受賞した8つの短編を再読。「鉄道員」は妻と娘を亡くした定年間近の駅長、乙松が見た夢の世界。「ラブ・レター」は40近い吾郎が偽装結婚した中国人女性とのつながり。「角筈にて」は左遷された商社マンの思い出。寿司と追憶が見事。「うらぼんえ」は天切り松の世界。祖父カッコいい!カットバックの巧さと行間の雰囲気が素晴らしく表現されている。奇蹟はどこかに必ずある!読む価値あり!の一冊。99年公開の映画は高倉健と広末涼子が共演。根室本線の幾寅駅でロケが行われた。
2019/05/05
ehirano1
やっと読めた本書。読んで良かったホントに良かった。哀しくも美しい、いや美し過ぎる物語で涙腺は制御不能です。不器用や武骨ってこんなにも美しいんだと思いました。
2023/05/03
やすらぎ
私たちが忘れてしまっていたのかもしれない、全うすることの尊さ。それがいかに大変なことなのか身に沁みる。官帽に積もる雪、響き渡る汽笛、遠ざかる尾灯。今日という一日の無事を感謝する吐息。失ったものは最期の夜に満たされ、真の安らぎを得られたのだろうか。他者に崩された人生に狼狽し、更に握り潰され笑っていられるほどの者はいない。人は感情に左右される。貫き守り尽くした心強さ、死してなお想う深愛に感涙。漸く空に咲く燈火に癒やされた。嗚呼、感情も霞んでいく。なぜたった一人の作家がこんなにも多様な物語に魂を込められるのか。
2023/07/06
kaizen@名古屋de朝活読書会
直木賞】廃線になる幌舞駅の乙松駅長。小さい娘ユッコを亡くし、妻に先立たれ、一人勤務。物語も結末も悲しい。北海道旅客鉄道株式会社の鉄の字は、金を失いたくないため矢を使っているとのこと。悲しさの三乗。
2014/05/06
酔拳
再読でした。一度目はまだ、私が独身のときでした。感涙しそうに感動した作品でしたが、結婚をし、娘の父(3歳)となった今では、さらに感動し、感涙しました。8編の短編集ですが、どの短編も人として、忘れてはいけない心を呼び起こしてくれます。「鉄道員」「ラブレター」は、涙がなくしては、読めませんでした。「ろくでなしのサンタ」は笑えるけど、いい話でした。「オリオン座からの招待状」は人生の機微を感じさせてくれる話でした。 また、歳を重ねて再読すると、もっと違う感想になるのかな?また、再読したいです。
2019/12/21
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