総督と呼ばれた男 下 (集英社文庫)
総督と呼ばれた男 下 (集英社文庫) / 感想・レビュー
10$の恋
人種の坩堝のシンガポールでは特に中国人が幅を利かす。辰也が頭角を現すには、財とパワーが不可欠。迷ったら負け、行動は常に一気呵成。日本人街のドンとの熾烈な勢力争い、手段を選ばぬ華僑との抗争にも屈しない。辰也の存在は人をグイグイ惹きつける。そしていつしか男気集団ギャングスターに。24才で『裏総督』と呼ばれるまでになった。だが悲運、どでかい波が押し寄せる。第二次世界大戦勃発。抗日・支配・権力・裏切り…うねり狂うシンガポールで、辰也とファミリーの運命の行方は_。最後の1頁で、私の心臓はドクンと波を打った。
2022/02/21
まつうら
(上巻の続き)辰也の敵役として、クリフォード少佐という警察官が出てくるが、ルパン三世の銭形警部に見えてくるのがおもしろい。クリフォードが辰也を逮捕しても逃げられてしまうところなど、なんとも銭形警部っぽくてほくそ笑んでしまった。 最後に辰也が逃げたのは、日本軍がシンガポールを攻略してきたときで、ここから辰也の活躍は急展開していく。最後はプロローグにあったシーンで、英軍の銃撃にあって死亡したと報道されたが、本当はどうなのだろう? 思わせぶりなエピローグがまたいい感じだ。
2021/11/10
shirou
波乱万丈の人生が描かれています。 苦労と成功と別れ・・・を繰り返しながら、色んなモノを得て、失っていく主人公。 反日運動・暴動・抗争など不条理を感じるシーンもありましたが、概ね満足のいく展開でした。 当時の雰囲気が上手く伝わってくる作品デス。
2014/05/15
西村章
上下巻一気読み。政情不安定な二十世紀前半のシンガポールの世情を後景に描かれる波瀾万丈の大河ピカレスクロマンは、情感豊かで映像喚起力も高く、極上のドラマを満喫した。ジョバンニやルヘインの諸作品に通じる匂いも感じるし、何より主人公の木戸辰也は『愛と復讐の挽歌』の頃のチョウ・ユンファがピタリとはまりそうな印象である。それこそまさにショウ・ブラザーズに映像化してほしかったぞ。
2018/02/05
takeshi3017
本作を読んでまず一番驚いたのは、その文章の読みやすさ。 かなり長い作品だけど、とにかく文章が読みやすいのでスイスイ読める。 ストーリーもちゃんとしているし登場人物も魅力的なのでかなり楽しめると思う。 以下に詳しい感想があります。http://takeshi3017.chu.jp/file1/neta4201.html
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