ウエンカムイの爪 (集英社文庫)
ウエンカムイの爪 (集英社文庫) / 感想・レビュー
あさひ@WAKABA NO MIDORI TO...
第10回小説すばる新人賞(1997年)受賞作。久しぶりに読むクマ本。コンパクトにまとめられてはいるが、アイヌの言う悪い神が憑いたヒグマ「ウエンカムイ」の存在感、野獣の匂いまでもがすぐそこに感じられるような作品だ。熊谷さんは、本作の後にもニホンオオカミや山に対して抱いている畏怖ともとれる感情を扱った作品を出していくことになるが、なるほど、本作からその才能の一端を十分に感じさせてくれているなと思いました。
2020/08/27
ぶち
アイヌの人々は、人間を食ってしまった羆のことを真の悪神 "ウエンカムイ" と呼ぶ....そんな羆に襲われる恐怖を描いた作品です。羆に襲われたときの恐怖感が臨場感をもって描かれています。が、それだけではなく、羆の生態や北海道の自然破壊、駆除か放逐かを分ける基準など、羆に関するあらゆる情報が記されています。そして、羆から身を守るための方法も説明されています。ページ数のあまり多くない小説ですが、内容は豊富で濃いものがあります。人間と野生動物の共存がいかに難しい時代になったのか、つくづく考えさせられました。
2019/11/19
アッシュ姉
『邂逅の森』読了以来、すっかり虜の熊谷さん四冊目。読友さんにならい、『相剋の森』を読む前にまずこちらから。デビュー作とのことで重厚さはまだ無くあっさりと読みやすい文章。ページ数の短さもあって物足りなさはあるが、ヒグマとの対峙場面の緊迫感や臨場感は充分に伝わってくる。クマのことを神と呼んだアイヌの人の気持ちが分かる気がする。圧倒的な存在に畏れを抱くとともに強く惹きつけられてしまう。人を襲うクマはたしかに恐ろしいが、自然への畏敬の念を持ち続けていれば、『ウエンカムイ』は生まれなかったかもしれない。
2016/06/13
さんつきくん
熊谷達也先生の処女作。ヒグマの生態を調べる学者、猟友会の人、大学院生、東京からきたライターの話し。生態系の乱れを人間の過ちとして認めながらも、立ち向かう彼ら。アイヌ語で悪魔に取り憑かれた熊を意味するウエンカムイ。ページ数は少ないけど、獰猛な熊と人間が対峙する描写の迫力はしっかり伝わってきた。
2012/11/29
はらぺこ
オモロかったです。でも、最後の方が少し物足りなく感じたので、あと少しだけページが欲しかったです。 人が不幸になる事を願うのはアカン事やと思いますが、アイツらもやられれば良かったのに・・・と思いました。
2012/05/14
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