わが人生の時刻表 自選ユーモアエッセイ(1) (井上ひさし 自選ユーモアエッセイ) (集英社文庫)
わが人生の時刻表 自選ユーモアエッセイ(1) (井上ひさし 自選ユーモアエッセイ) (集英社文庫) / 感想・レビュー
やまねっと
井上ひさしの長短あらゆるエッセイをまとめたもの。特にユーモアを交えたのを厳選している。中でもNHKに下宿する話と母親のあれこれする話が面白かった。 井上ひさしという名前にするに至った話なぞはかなり面白かった。 流石厳選されたエッセイであると思ったが、少し真面目すぎるとも思ったな。 もう少しページ数を減らしてくれたらもっと気ままな本になったと思うが。それは僕だけだろう。
2022/09/03
くら
ユーモアエッセイとあるが、「ユーモア」には色んなものがあるようで、単純に想像したような、クスクス・ゲラゲラ笑えるようなものは少なかった。むしろ前半は、論文のような真面目な内容だったので意外だった。昔の浅草の様子は興味深かった。NHKに勝手に住んでしまった話など、昔の日本のゆるさが色々垣間見えて、面白かった。
2015/10/18
緑色と風
収められているエッセイの中で、「私の道元禅師」「淋しい餓鬼大将」がいい。前者では、著者の養護施設での体験から親身になって世話をやいてくれた修道士に感謝しているのだが「私の信じているのは、あの修道士たちの作った一枚の菜っ葉は、聖書やキリスト教にまさり・・・・・私にとって、宗教は、教養より人なのだ」といい、後者では子供の頃にいじめられたガキ大将が中年を過ぎて仕事関係でぺこぺこしている姿を見て「働かなくてはならないということは、なんと人間を小さくしてしまうのだろう」という。なんと身につまされる一文だろう。
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