律子慕情 (集英社文庫)
律子慕情 (集英社文庫) / 感想・レビュー
遥かなる想い
律子というひとりの女性の成長と共に、彼女を取り巻く恋・愛・命について、静かな語り口でつづられた小説である。「律子」という女性の造形がよい。人生のかかわり方について、感じさせる小説である。
2010/06/26
シュラフ
東京の典型的な中産家庭の律子の物語が連作形式で展開する。時代設定は東京オリンピックの頃に小学生だから主人公の律子は小池真理子さんと同世代である。同居していた叔父の自殺からはじまり、大学卒業をひかえて就職が決まった頃で終わるというやや中途半端感がある。律子は大学合格とともに"おんな"になる。"おんな"になる前と後で女は変態していくのだ。大学生になった律子は"おんな"になる前の律子とは違う。だから大学生の律子が母の病院で昔の恋人の伸也と偶然の再会をして再び恋を予感させるところで終わるのがちょうどよい。
2015/08/16
Ryoko
心にしみじみとくる連作短編集です。死者と死者の心を感じることができる主人公。小さい頃の淡い恋から恋に恋する20代まで女性として成長していく姿が描かれています。時代背景が昭和というのもいい。大学紛争とか長髪の男性とか出てくるのが白黒のテレビを観ているようで面白かった。登場するのは一生懸命生きてる人間ばかりですが特に「天使」に出てくる光男がいい。甘酸っぱい気持ちと切なさに浸れる小説。
2016/12/25
ベック
本書はタイトルから用意に推察できるとおり、律子という女性の恋愛模様を描いている。だが、それが唯の恋愛小説になってないところがミソなのだ。まず一点、律子は死者の霊を見ることができるということ。だから厳密にいえば、本書は幽霊譚でもあるのだ。でも、そこから連想されるような恐怖や不気味さとは程遠い仕上がりになっているけどね。そしてもう一つ。本書は律子の生い立ちを小学6年の頃から、連作形式で6話に分けて描いているのだが時代が昭和に設定されているので過去を振り返る物語としてノスタルジックに描かれているということ。この
2009/08/16
ねぎまぐろ
★★★
2022/11/06
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