KADOKAWA Group

Facebook X(旧Twitter) LINE はてブ Instagram Pinterest

猫背の王子 (集英社文庫)

猫背の王子 (集英社文庫)

猫背の王子 (集英社文庫)

作家
中山可穂
出版社
集英社
発売日
2000-11-17
ISBN
9784087472684
amazonで購入する Kindle版を購入する

猫背の王子 (集英社文庫) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

優希

凄くスキャンダラスです。淫蕩なレズビアン・ミチル。その姿には熱狂的であり、破滅的な痛みを感じずにはいられませんでした。命を削るように芝居に命をかける生き様に憧れます。ミチルの内面に持つ熱量に圧倒されました。濃厚な同性愛と共に描かれる情熱の世界。ミチルは女たらしの女ですが、愛は他者に向けられることはなかったような気もします。それが優しさという形の残酷を持っていた。体が壊れそうな感覚に襲われます。

2016/01/23

主人公であるミチルの性格、性質がなかなか面白い。純真で繊細な面もあれば、不安定なのに大胆で、少女の天真爛漫さより少年の甘えや脆さのほうを強く感じる。無邪気な悪魔が棲みついたような、本能の赴くままにしていてモテるドン・ファン体質っていうのがすごいよね(笑)それに演劇という世界は彼女の天性を生かすのにもっとも適していると思う。読む前に表紙から想像していた雰囲気は見事打ち砕かれ、明るくて痛快な印象を受けた。でも彼女にとっては、それでも素の自分をさらけ出せている実感や安堵できる居場所は、ないのかもしれない。

2013/04/24

あんこ

「天使の骨」よりも官能的だった。「天使の骨」が絶望の淵に立たされて、浄化されゆくミチルの話だとすれば、第一作にあたるこちらは、舞台人として、そして一人の女として絶望の場所までただ真っ直ぐに身を削りながら堕ちて行く物語だったように思う。それなのに、ボロボロになればなるほどミチルが輝いて見える。

2014/04/10

あつこんぐ

記念すべき700冊目。『桜庭一樹の読書日記』の中で紹介されていてずっと気になっていましたが、ブックオフの100円棚で見つけ即購入。ミチルがナルシストで自分に酔ってるところが女版太宰治みたいでした。世の中の女はみんな自分がキスをすれば喜ぶと思っている感じに背中がゾワゾワして、でも面白いので読むのを止められませんでした。歳をとって落ちぶれたミチルは見たくないのでこのままでいてほしいなぁ。

2018/12/06

かさお

登録もれ。衝撃的な1文で始まる。読んだのは何十年まえ、随分前だ。今の時代であれば珍しくもないセクシャリティ、女同士の痛々しい恋愛。何者かになりたくて、夢はあったはずで、何故自分が憤ってるか分からない事に苛立つ主人公の荒々しさは、手負いの獣のようで、感情根こそぎぶつけられて、当てられて、茫然自失になった事を覚えている。山本文緒の恋愛中毒と1、2位を争う私の中で一生残る恋愛小説。

感想・レビューをもっと見る