スミス海感傷 (集英社文庫)
スミス海感傷 (集英社文庫) / 感想・レビュー
harass
芥川賞受賞前後の短編をまとめたもの。表題作のスミス海とは月の海の名前のこと。この作家の作品にしてはまだわかりやすいものばかりだ。文章のこだわりというか表現がまだ素直に感じられる。いつものように苛立ちや憤懣や鬱屈が奥底にある人物ばかりだ。物語ろうとするよりもシーンを重ねていくふうにいつもこの作家の作品を読むたびに感じる。不親切な作風で媚びない作家だ。
2014/06/30
巨峰
表題作はタイトルだけは素敵。スミス海、フンボルト海、月の海の名前を教えてくれた父。だけど、父の戸籍には違う女と知らない子供の名前が刻まれている。そして、父の死後、彼女は娼婦になった。一人でいきていくために。。と書くと面白そうな小説のような気がするのだけど、これがさっぱり面白くないんだよなww読むに耐えない酷い出来の短編「カナル高浜」。藤沢周は、かなり、文章が下手なんじゃないかな。唯一「ポマード」だけは、その予想外の展開が面白かった。
2011/02/26
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カナル高浜…素晴らしい。
2014/10/08
CEJZ_
1P15行。何を読んだらいいかわからないとき、困ったときは藤沢周を読むようにしている。日常に潜む尖った人間の尖ったハナシばかり。藤沢は鎌倉在住だが、書くものはうれしいくらいに生まれ育った新潟気質、ネクロ新潟スタイルだ。表題作に出てくる父親は、藤沢自身の父親、そのものだろう。短い話のほうは、深いようで、どうでもいいハナシだなと思った。ただ問題なのは作品について何かを語れば、たちまち剣道四段の腕前で叩っ斬られるおそれがあることだ。対話は成立しない。ただ時々好んで藤沢周の未読作品を探して読むだけだ。
2016/11/20
いのふみ
以前流し読みしてしまったが、文庫で再読。著者独特の比喩や細部へのこだわりが強い? 単行本未収録の短編四本はさりげないほんの1シーンだが、奥に黒いものが見え隠れする。玩物喪志だと思っていた「カナル高浜」は、爆発しそうな中学生の精神などの諸相を拳銃で象徴させたのか(メタファー?)。面白く再読できて良かった。
2011/08/03
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