短篇セレクション 官能篇 ひぐらし荘の女主人 (集英社文庫)
短篇セレクション 官能篇 ひぐらし荘の女主人 (集英社文庫) / 感想・レビュー
じいじ
小池さん自選の短篇集。巧い、端からぐいぐい物語の中に引き込むパワーは流石である。北鎌倉の奥深い屋敷でひっそり暮らす若い謎の女。愛は金で買えるか? 愛と金について考えさせられる表題作。夫の不甲斐なさで、愛する妻を禁断の恋(不倫)に走られてしまう【花ざかりの家】。三篇ともミステリアスで官能的で面白い。小池真理子ファンにはお薦めの一冊です。◆「官能は、性器や性行為の中にあるのではない。風景の中にある…」と小池真理子は、巻末エッセイで述懐する。言い得て妙である。
2020/05/14
えっくん
★★★★☆大邸宅に暮らす女主人に惹かれ、のめりこんでゆく男性の話「ひぐらし荘の女主人」、妻の不倫相手の同級生に隠された真相「花ざかりの家」、声をかけてきた男の家に住み始め、男の徹底した美学に翻弄される女性の話「彼なりの美学」の3つの短編集です。官能セレクションと副題にはありますが、露骨な性描写はなく(期待していた訳ではないですが)、偏った性愛の持ち主たちの物語でした。おぞましいと思えるくらい、これほどの愛し方、愛され方もあるものだと、流石に恋愛の達人小池センセです。
2016/05/25
カブ
短篇セレクション 官能篇。巻末エッセイ、皆川博子氏の解説を含め堪能した。ため息の出るような美しい物語とラストの反転。
2016/06/20
ロマンチッカーnao
中編3編。3つとも誰かが死ぬ男の女のサスペンス。官能編とあるけど性描写はなし。風景描写や何気ない仕草などでなにかを悟らせる。『ひぐらし荘の女主人』北鎌倉にひっそりと佇むお屋敷で静かに暮す女主人。それが美人となれば、それだけで何かが起きるとわかります。『花ざかりの家』が良かったな。妻が不倫をして、不倫相手ともうまくいかずに最後は自殺(夫が自殺したいよって思うけど)15年ほどたち夫が、妻の不倫相手の家に行くことになる。そこで、その家と男の秘密を知り、妻の自殺の原因もわかる。いやぁ、サスペンスですわ。
2021/05/02
kozy758
意外な展開を伴う。美と犯罪が巧妙に描かれている。表題作『ひぐらし荘の女主人』が特に良かった。女主人とは大げさな表現と思ったが、読後はなるほどと思った。
2015/10/12
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