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深川恋物語 (集英社文庫)

深川恋物語 (集英社文庫)

深川恋物語 (集英社文庫)

作家
宇江佐真理
出版社
集英社
発売日
2002-07-19
ISBN
9784087474633
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深川恋物語 (集英社文庫) / 感想・レビュー

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文庫フリーク@灯れ松明の火

【追悼 宇江佐真理さん】私が宇江佐真理さんにハマったのは、この作品からだと思う。巻頭の「下駄屋おけい」のみ紹介。大店のお嬢として育ったおけい。はす向かいの「下駄清」職人・口の利けない強面の彦爺が拵える下駄が贔屓で、あんちゃんと呼ぶ跡取りの巳之吉に秘かな思い。その巳之吉は悪い遊びが過ぎて今や行方知れずの身。日増しに増える縁談噺に、相手が履物屋というだけで嫁入り決めるおけい。「本当はあんちゃんのお嫁さんになりたかった」と巳之吉の両親に告げ、最後にもう一度だけ彦爺に、普段履きの下駄を台から造って貰いたいと→続

2015/11/08

たっくん

木綿の反物を商う太物屋「伊豆屋」の娘おけいに、浅草大店履物屋「甲子屋」からの縁談が持ち上がるが、おけいは下駄屋のむすこ巳之吉への思慕からお仕着せの人生を捨てる(下駄屋おけい)「鍵屋」花火職人信次は、懐に匕首を忍ばせおてるの住む裏店へ向かう、隣に住む錺職人忠助は、「アヒル」おてるとの馴れ初めを話し始めて(がたくり橋は渡らない)伊沢町裏店大工佐吉の女房お新は絵を描くのが大好きだった、ある時お新のおもちゃ絵が版元の目に留まるが・・お互いを思いやる気持ちがすれ違って(さびしい水音)外、切なくも暖かい恋物語、秀作。

2023/06/11

佐々陽太朗(K.Tsubota)

吉川英治文学新人賞受賞作というから、宇江佐さんの初期の作品らしい。そこにあるのは人情の温かさと凜とした矜持。六つとも粒ぞろいの小編。とりわけ「下駄屋おけい」「がたくり橋は渡らない」「凧、凧、揚がれ」が素晴らしい。MVPは「がたくり橋は渡らない」だろう。何度読み返しても良い。

2017/09/03

ふじさん

「下駄屋おけい」の大店のお嬢さんのおけいが、真に愛する人と共に生きようとする姿がいい。「がらくた橋は渡らない」のおみつ、苦界から救ってくれた恩を感じ、体の不自由な忠助を人生を支える姿がいい。「さびしい水音」のお新、絵を描くことで、互いの思いがすれ違う夫婦のやりきれなさが辛い。「仙台堀」のお葉、久助、おりつ、与平、交錯する恋心に翻弄され四人の深い悲しみ描かれ、味わい深く好きな作品。「狐拳」の元深川芸者で信州屋のおかみのおりんと息子の嫁になる振袖親造の小扇、二人のいきさつが読ませる。私の好きな1冊。

2024/01/28

ミカママ

久し振りの時代物でしたが、読み始めてみればなんのことはなく、それぞれの女性主人公たちに一気に感情移入。恋愛小説に限って言えば、ハリウッド式のハッピーエンドとは逆のエンディングを求めてしまう私。これも昔心酔した、森瑶子さんの永遠のモチーフ「男と女は出会った時から、常に別れが見えている」の影響でしょう。そのセオリーから言っても、「がたくり橋」と「さびしい水音」はかなり好き。ことに「がたくり橋」は、当時ならではの悲恋が身につまされました。それでも、いえ、それだから人は恋をしてしまう。

2014/10/26

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