短篇セレクション ミステリー篇 泣かない女 (集英社文庫)
短篇セレクション ミステリー篇 泣かない女 (集英社文庫) / 感想・レビュー
キムチ
筆者が得意の「日常のある一線を越える」面白さの短編が4編。 女が泣くって・・泣かなくなった女が増えた・・細かいニュアンスが「昭和」を感じたものばかり。 男は女を泣かせたい・・では逆手にとって 男を「追い込んでいく」ねちっこい段取りを。組み立てて行く女の方に寒さを覚える。20年前の作品という事で筆者のテクニカルな「人の心の襞ひだ」がさらっと綴られて行く逸品。
2022/10/07
Yu。
人ならざる行為を犯す者より 静かな羊が恐ろしい「妻の女友達」。鳴かぬなら鳴かせてみせよう時鳥…でもね貴方は彼らではないのだよ。ただでさえ悲惨な運命が待つ上に更なる不運が重なるというW悲劇に逆涙「泣かない女」。神様、一度スイッチを入れたからにはもうダメなの?引き返しても?ねえ?「悪者は誰?」。“老い”と“記憶”をテーマにした哀しきサスペンスフルな心情描写にとことん酔わせつつ著者ご自慢の‥ いえまさかの着地は本作の締めを飾るに相応しい「鍵老人」。と読み手を悪酔いさせるこの皮肉味が逆に癖になる四編の小池黒祭り。
2016/12/21
cithara
前世紀に書かれた短編集だが今読んでも全然古さを感じさせない。宮部みゆきの解説は思わず「若いなー」と思ってしまった。どの作品にも、罪を犯した(犯そうとする)人間の焦りが上手く描かれている。読んでいるこちらの動悸も激しくなってくる。ここまできたら小池氏の勝ちである! この作風は今の小池真理子の作品にいまだに息づいている。だから私はいまだに読むのをやめられないのかなあ。『妻の女友達』→美雪は全然悪くないのに、と理不尽な気持ちが消えず。『鍵老人』→今なら「カギの110番」サービスがあるのになーと思ってしまった。
2014/06/28
ねんまに
小池真理子初読み。まるで昼ドラのようなちょっとした刺激とぺらぺらの人間描写だけで構成された、頭を空っぽにして娯楽として読めば済むような話なんですが、どの話もそれなりの意外性はあって嫌いではなかった。あとがきを読む限り、実験的にミステリーにも手を出しているものの、作者自体はもっと文学寄りの印象を受けたので他の作品も読んでみたい。
2021/04/04
暴走妄想族
ページを捲る手が止まらないような小説に久しぶりに出会った気がして、夢中で読んだ。4篇ともどれも文句なしに結末がスパッとしててカッコいい!どうにもならない運命のいたずらを、ガッシと受け止めてさらっと書いてるような、そんなカッコ良さを私は常に小池さんの作品に感じてしまう。好きだ!
2014/08/07
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