落花流水 (集英社文庫)
落花流水 (集英社文庫) / 感想・レビュー
mariya926
手毬という女性の子どもから老人になるまでの人生が、周りにいる人の目線で描かれています。面白かったのは親と同じような人生を生きていたこと。人間って親を反面教師にしても、生き方が似てしまう場合があるんですよね。ある日急に親が失踪したように、幼なじみに再会して失踪してしまう手毬。それでハッピーエンドで終わるのではなく、その後の人生も書かれているのが面白かったです。しかも人生の転換点には、身近な人の一言があったのも印象的でした。山本文緒さんを追悼して再読されている方が多いですね。
2022/01/02
アッシュ姉
これまた凄い。いままで読んできた著書とは少し違う印象を受けたが、好みど真ん中でとてもとても面白かった。一人の女性を中心に十年ごとに綴られていく。毎回驚きに満ちた変化に読み手の私はやきもきするが、激しい感情に囚われることなく淡々と受け入れていく彼女の人生がどんなものであったか読後もぐるぐると思いを巡らせてしまう。読むたびにマイベストを更新している山本文緖さん。すべての作品を大切に読んでいきたい。
2021/12/22
えりこんぐ
7歳から67歳までの手毬の物語。逃げられたり逃げたり、10年ごとにガラリと変わる展開が凄かった。激動でドロドロでもあるのに、こんなに読みやすくて嫌な気持ちにならないって何だろう。山本文緒さんは唯一無二の作家さん。こちらは初読だけど、どの作品も何年後も再読したいと思うものばかり。悲しいな😢【積読140】
2021/11/10
よしのひ
手毬の人生が詰まった作品。手毬視点はもちろん、他視点からの手毬もあるので、内容に厚みがあった。甘酸っぱさもあり大人のドロっとした部分もありと、手毬の歴史とともに受け取る感情の幅に圧倒された作品だ。また「無邪気さ」というのは私にはない武器なので、それを披露する人物たちには羨ましさも感じた作品である。元々は1999年に刊行された作品だが、未来である2007年、2017年、そして2027年の描写が面白い。特に年賀状の話にはワクワクさせられた。手毬の人生を10年ごとに追っかけていく作品だが、唸るとこ多き作品なり。
2021/11/17
エドワード
1960年に生を受けた手毬。十年ごとの彼女を家族の視点から描き、日本の行く末をあぶりだす物語。花はいつか落ち、水は流れ行く。そこに見るのは諸行無常。母、律子は若くして手毬を産み、しばしの間、姉と称していたが、ある日、見知らぬ男と姿を消した。後に律子が「因果はめぐる」と語るように、手毬もまた最初の夫を捨て、幼馴染みのアメリカ人と姿を消す。手毬の弟と二人の娘の数奇な運命。2017年の章が今だ。高齢化日本の姿は預言のごとく真実に近い。終章である2027年、私は年金を受け取る年齢になる。穏やかな未来を願うのみだ。
2015/01/17
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