ネバーランド (集英社文庫)
ネバーランド (集英社文庫) / 感想・レビュー
ehirano1
「夜のピクニック」に引き続き、またもやノスタルジーに浸らせていただきました。気持ち良うございました。また、彼らの20年後をとにかく見てみたいですね。それくらい将来が楽しみなティーンネージャー達。先生、続編をひとつ宜しくお願いいたします!
2017/01/03
風眠
あとがきで、「トーマの心臓のような重厚な作品にしたかったけれど、そうはならなかった」と作者も述べているように、萩尾望都の作品を彷彿とさせるような雰囲気がある。赤い爪、白い服の女、冬の幽霊、恩田さんらしいミステリー要素も匂わせながら物語はすすむ。男子校の寮「松籟館」、冬休みに居残りとなった少年4人が過ごした7日間。ひとつだけ嘘を混ぜて、秘密にしていた事や心の内を告白するゲーム。抱えていた闇を露呈していくごとに、大人でも子どもでもない少年達の心が呼応しあう。クールだけれど優しい、少年達の心を繊細に描いた物語。
2014/02/09
zero1
過去は消せないが、仲間と共有すれば乗り越えられる。年末、男子校の寮に残った3人プラス1人は告白ゲームを始める。同性愛を含む恋愛話と深いトラウマ。それぞれの悩みを進学校らしく語る姿は本屋大賞「夜のピクニック」につながる。「トーマの心臓」とも。「雄弁な沈黙」は独特の表現。題名は誰もが持つ世界を示す。ノスタルジーを刺激する一冊で、女性から見た不完全な高校生の世界だけに斬新と言える。寛司が両親を拒絶する場面は素の人間が描かれ共感した。4人はこの7日間を死ぬまで忘れない。辻村深月ならこの設定をどう描く?
2019/09/12
kishikan
ネバーランドといえばピーターパンかな。でもこの恩田さんの小説は、ファンタジーじゃない。全国有数の進学校に通う4人の高校生。それぞれ冬休みに帰省できない事情を抱え、古い寮で年を越す。そして、各人の複雑な家庭環境を語りあい、理解を深めていくという物語。単純に言えばこうなるが、複雑な心の揺れや葛藤を乗り越えていく姿が美しい。前半は恩田さん流のホラー的な話かなとも思ったけど、実はそうじゃなかった。それより男子高校生の心の動きや友情という青春ドラマとして高く評価したい。やはり青春時代はネバーランドだった。
2013/02/01
NADIA
年末年始休暇に寮に居残ることになった3人プラス1人。男子高校生にしては、やけに生活力があって、私なんかよりよっぽどおいしそうなものを作っている(^^; 乱入系自宅生の統君は「夜のピクニック」の高見君のキャラクターと通じるものがある。こういうキャラは場を和ませる貴重な存在。重いものを背負った少年たちだが、きっとこの経験を糧に正しく成長していくことだろう。
2016/10/09
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