病む月 (集英社文庫)
病む月 (集英社文庫) / 感想・レビュー
ミカママ
一時期むさぼるように読んだ唯川さん。直木賞受賞前の作品で、おそらく再読(読了した今でもハッキリしない)。金沢舞台に女性主人公の短編集。ラストに少しゾワりとさせられるあたり、特色は当時から出てはいるが、個人的にはもっとドロドロした内容が好み。にしてもタイトルが効いているなぁ。
2020/09/27
アッシュ姉
読友さんのレビューに惹かれて、唯川作品初読み。読み応え抜群の上質な短編集で非常に面白かった。「今ではない、いつか」「ここではない、どこか」を求めている、怖い女、切ない女、壊れた女、不器用な女たち。短編と侮るなかれ、それぞれの人生観がぎゅっと濃縮され、彼女たちの行く末が気になりするする引き込まれる。じわじわ広がる闇ときりりとした結末も見事で満足度高し。美しい古都金沢を舞台に、どこか上品な語り口が心地よく、この一冊で追いかけたい作家さんに決定。お薦めしてくださった読友さんにたくさんの感謝を!
2017/05/22
ann
ほとんどの話の結末は想像がついたが、そんなことはどうでもいいくらい、イヤらしさも醜さも寂しさも後悔も、女なら皆持っている情念の成れの果てを、静かな筆致で攻められたら涙のひとつもこぼしたくなる。
2018/07/04
Satomi
金沢を舞台に繰り広げられる女達の物語。男なしでは生きられない、いくつになっても男の視線から逃れられない、媚びるように生きる、時に少女のような幼さを演じ、時に高飛車な女王様を演じる…。女が女であることを痛感する、イヤというほど思い知らされる。舞台となった金沢の街。賑やかで華やかな街というイメージとは異なる、東北でもなく、関西でもない北陸の閉塞感が物語をいい具合いにダークにする。ハッとしたり、ドキッとしたり、ゾッとしたりと短編とは思えない読み応え。とても面白かった。
2017/09/26
もぐたん
いろんな表情を見せる月のような、「女」という生き物を様々な角度から描いた10篇。傲慢、偽り、強欲、嫉妬など、後ろ暗さがちらつくも、共感とも同情とも違う、息苦しいほどの同胞意識が嫌悪感を上回る。女たちの心に横たわる救いのない闇に響く彼女達の慟哭には、むしろ真っ直ぐで力強い生命力を感じる。煩わしさを抱えながら、たおやかに、したたかに、しなやかに生きて行く女たちの物語。★★★★☆
2020/10/09
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