まほろばの疾風 (集英社文庫)
まほろばの疾風 (集英社文庫) / 感想・レビュー
アッシュ姉
舞台は古代東北。大和朝廷に服従せず、独立を目指した蝦夷の英雄アテルイの生涯。あまり馴染みのないジャンルで読み進めるのに時間がかかってしまいましたが、実在した人物と歴史にフィクションを織り交ぜた雄大な物語でした。大自然と共生しながら暮らす山の民の誇りを賭け、侵略者である大和へ敢然と立ち向かう大首長のアテルイ。征夷大将軍の坂上田村麻呂との頭脳戦や駆け引きは読み応えがありました。二人が敵でなく味方であれば良かったのにと叶わぬ願いを抱いてしまいます。最後まで見逃せない展開と結末に、読後は感動と興奮に包まれました。
2016/04/07
伊之助
人並みに郷土愛といったものは持っている。その昔、蝦夷と呼ばれた人々が住んでいた土地。どこにでもありそうな風景や地形だが、いとおしい気持ちが年を重ねる毎に少しづつ強まる。その根っこには被害者意識のつくる感情もある。本をただせば、この本に書かれた大和朝廷による蝦夷の征服から連綿と受け継がれて沈みこんでできた意識なのだろう。時代錯誤も甚だしい物言いだが、覗いてみればそうだから仕方がない。それでも郷土愛にはもう一つの味付けがある。この本にも登場する不条理を拒むまつろわぬ人々へのロマンだ。
2017/12/07
カムイ
古代朝廷がまつろわぬ蝦夷を攻撃するが、蝦夷の英雄アテルイが部族間をまとめ朝廷を乾布なき叩きのめすが、その後に朝廷が送り込んだのは征夷大将軍坂上田村麻呂である、蝦夷達の自然を大切に思う気持ちや、殯の仕来りには心打たれる、アテルイが部族間をまとめるがそこには裏切りや朝廷の調略などあり、劣勢に立たされる場面もあるが、最後はアテルイ率いる蝦夷が有利になるが、京でのアテルイ達がだまし討ちなる、歴史上解っているのだが、涙が止まらなくなる。
2019/04/20
キムチ
アテルイと云う名すら昔は知らなかった。仙台では「坂上田村麻呂」と云えば、将軍であり、広大な屋敷跡もあり・・と云った「勝利の勇者」としてイメージしていた。 熊谷氏は蝦夷と東北北海道に眠る神なる魂に拘りを持ち続け、それを背景とする冒険小説が多い。 大半読んできたが、これは時代小説。とはいえ、舞台が大和朝廷と対峙する古代東北。巻末をみると実に膨大な資料を検証していた事が解る。 が、何といいっても歴史は勝者の理論。ある意味、漫画チックと云っても言い過ぎではないかも。
2013/07/19
アルプスの空♪
面白かった!!アテルイは井上靖著「蒼き狼」のジンギスハーンを思い起こさせる。領土を守るため民を守るため戦う事が運命られた星の下に生まれたアテルイ、ファンタジー要素少々あり・・かな?!そして”意外性”が後半から徐々に始まるのだ・・・主人公のアテルイより敵である大和の田村麻呂の人物像が際立って"良い”のが、面白いし最後の結末も又意外であった!!潔し(^_-)-☆
2010/11/20
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