海を抱く BAD KIDS (集英社文庫)
海を抱く BAD KIDS (集英社文庫) / 感想・レビュー
優希
面白かったです。性、生、死、友情、愛。自分の立ち位置に悩み苦しむ姿が体に突き刺さるようでした。光秀と恵理が交互に語るので、気持ちの揺れ動く様子が直に伝わってきます。不器用な2人が結んだ体の関係がやがて特別な意味へと流れていく。ヒリヒリして、間違えると堕ちていきそうな危うい10代の姿がここにはありました。海を抱く、それは2人が本当の意味で溶け合うことだったのですね。もがきながらも生きる姿が印象的です。
2016/08/01
相田うえお
★★★☆☆19056 読み始めはW/F系方向の印象を受けたんですが、実際には、身の周りで起こり得そうな、あってもおかしくない様な話でした。能天気に読めるものではなく、心に『ズシン!』ときます。特に第3章に入ってからの父親のラストシーン!呼吸器の電源を切る、切らない、で親族が揉める場面では唸ってしまいました。自分が当事者になった場合はどうしただろうか?ほんと、尊厳死、安楽死というのはその場に居合わせないと分からないし、最善の選択肢、正しい答えが無い問題なんだと思います。思いのほか深い作品でした。
2019/06/23
mmts(マミタス)
生と性を対比する小説には生々しい露骨なものが多いかもしれませんけれど、この小説はそういった性描写はいやらしくなく綺麗なシチュエーションに仕上がっていました。片想いの切なさと両想いの切なさに思春期特有の喜怒哀楽が加わり、とても感情移入しました。片想いの痛々しいまでの愛情にも共感しました。それ以上に両想いではプラトニックな愛情を育むことが素敵でした。ところで、これがシリーズものだとは知りませんでした。もっと詳しく登場人物の心理描写を知りたいと思いました。いずれはおおもとの小説を読みたいと思いました。
2016/12/20
えりこんぐ
前作の都&隆之とリンクするお話。優等生・恵理の心の葛藤と、体で繋がってるだけの光秀。周りから思われている自分像と、実際の自分が余りにもかけ離れているのはとても苦しい。前作同様、こちらも読み応えがあった。この子達の10年後が知りたい。【積読144】
2021/11/24
優愛
「人はね。会うべき人にしか、会わないんだって」生きている、ただそのことが哀しかった二人。厳しい現実の波に飲み込まれまいと必死に互いの身体にしがみつく二人。その姿はあまりに残酷で。光秀は恵理を海だと言ったけれど、弱みを見せない彼女の心を解き温かく包み込んだ光秀もまるで海だ。巡り会ったのは光秀には恵理が、恵理には光秀が必要だったから。いつだってそう。本当に大切な人はどんな形でも誰より傍にいてくれるんだよね。
2014/10/21
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