娼年 (集英社文庫)
娼年 (集英社文庫) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
石田衣良氏は初読。20歳の青年リョウを主人公に、彼が娼夫となり、そして娼夫として生きる決意をするまでを描く。リョウの精神的な背景にマザーコンプレックスを置かざるを得なかったところに、突き破り切れなかった作家の限界を感じないではない。また、ある種の作り物めいた虚構世界は、それはそれとしての現実をも反映しているだろう。一見したところでは、客となった女性たちを語っているようでもあるが、その本質はやはり青年リョウの不安定さと、それゆえの魅力とにあるだろう。性の特殊性を否定するあたりはなかなかに秀逸か。
2018/05/10
starbro
石田衣良は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。最新作『爽年』を読む前に、未読の第一部『娼年』を読みました。人類最古の職業の一つ、時代および性嗜好の多様化で、どんどん変化・進化して行くんでしょうね?直木賞候補作だけあって、単なるエロではありませんでした。続いて第二部『逝年』へ。トータルの感想は全三部作読了後に。【読メエロ部】
2018/04/25
小梅
実際にこんな仕事してる少年がいそうだなぁ〜色んなお客さんが出てきたけど、特におばぁちゃんが何だか可愛く思えた。
2013/09/08
zero1
厳密に言えば誰もが異常。性に求めるものは千差万別だ。母の死にトラウマを抱える二十歳のリョウは大学をサボりバーテンをしていた。静香という女性が彼をスカウト。娼夫になれるかテストする。リョウはこの試験に合格。いろんな女性と寝るリョウ。しかし、石田はきれいな部分しか描いていないのではないか?身体を売るのは汚くリスクも多いはず。他の作品でも同じで、これこそが石田の最大の欠点だと私は思う。彼はドロドロが描けない。また、女性読者から見てこの作品はどうなんだろう?石田の描く作品世界に納得するのだろうか?続きあり。
2018/12/13
HIRO1970
⭐️⭐️石田さんお初です。題名から何と無くは内容の予測はついていました。イリーガルな世界はハイリスクでもハイリターンだから成り立つ訳ですが、恐らく世界最古の職業である女娼・男娼の話は古今東西あまねく溢れてはいますが、何時の世でもリーガルな市民にはちょっと覗いてみたい怖いもの見たさの好奇心があるようです。著者は20歳の大学生の主人公を通じて職業倫理や社会道徳は何処にあるのか、今の若者ならどうチョイスするのかを若干は描いていますが、全体に余り苦悩は無く、現代の性癖図鑑の様な本でした。次の本に期待します。
2015/09/19
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