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故郷 (集英社文庫)

故郷 (集英社文庫)

故郷 (集英社文庫)

作家
水上勉
出版社
集英社
発売日
2004-11-19
ISBN
9784087477580
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故郷 (集英社文庫) / 感想・レビュー

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おさむ

昭和の終わりに著しながら、10年経って出版された自伝的小説。故郷の若狭を見つめる水上さんの視線は厳しく、切ない。「原発は大勢の都会人を村へ連れてきて、町の経済発展に力をくれたが、大事にしてきた村人のおおらかさを根こそぎ変えてしまいよった」年老いた夫婦は原発密集地となった故郷に戻るか悩む。「いい村だけど、原発さえなければ」という夫に反論出来ない妻。周囲は「そんな事故なんか起きない」という楽観論や「起きてしまえば、どこにいたって同じ」という諦観ばかり。東日本大震災後の日本人の心情を描いているかのようです。

2017/04/20

Cinejazz

夕方の車窓から眺める地方の村々や田園風景は、瞬く間に後方へ過ぎ去っていく。時おり年配らしき人の姿が目に飛び込んでくる。ここにも悲喜こもごもの人生の物語が散りばめられている・・・。そんな思いをひき寄せる【水上勉】の長編小説である。著者の故郷である福井県を舞台に、遠く離れていた故郷に集う家族の心境が綿綿と語られていく。“原発銀座”と揶揄されて久しい福井県沿岸に生活基盤を築いてきた人々、帰郷して故郷の風景を眺める人々の心情を淡々と描きつつ、生きとし生けるものへの慈しみを謳いあげた、心の奥深く沁みわたる一篇。

2019/11/13

桜もち 太郎

作者のふるさとである福井県に対する思いが伝わってきた。原発銀座がある若狭、福島原発事故の前に書かれたものだが、構造は全く変わっていないのかな。

2014/02/22

rinrinkimkim

酒井18。水上氏の風景描写が大好きです。櫻守も馬の話も美しい景色が目の前に4Kで映されるよう。本書も若狭の海が(裸でキャシーが走るシーン等)見えましたよ。そのキャシーさんのお母さん探しの物語かとおもいきや、お母さんの地元物語でした。水脈のように底に流れる哀愁や裏悲しさは水上さんならでは。どこで骨になるか・・・中々結論出すのを先送りにしがちな問題です。

2022/04/17

yasumiha

人は誰もが最後は、故郷に郷愁を持つものだろう。若狭、丹後出身で若くし渡米して、日本料理店で成功を収めた夫妻が主人公。老後は日本に帰り、静かに暮らすには故郷と考えていたが、過疎化が進み、原発銀座と呼ばれるほど環境が大きく変化していた。また、里の屋敷、田畑を守っていた母が亡くなり、故郷への想いが薄れていく。出身である筆者の故郷に対する想いが強く描かれた名作である。

2023/12/16

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