勘九郎ぶらり旅 因果はめぐる歌舞伎の不思議 (集英社文庫)
勘九郎ぶらり旅 因果はめぐる歌舞伎の不思議 (集英社文庫) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
勘九郎(後に18代目中村勘三郎襲名。2012年逝去)さんの旅というよりは、一種の芸談。旅の部分は最初の播州赤穂と最後の硫黄島くらいで、大半は東京が舞台。ただ、彼は現代の東京にも常に江戸の面影を見ているのであり、その意味ではこれもまた時空を超えた旅か。読者に直接語りかけるような口語の話体といった独特のスタイル。こうした文体で書いているのか、あるいは彼の談話を編集者が文字に起こして再編集しているのかは不明。読んでいると、彼の芸域の広さと、果敢に何にでも挑戦してゆく天性の役者としての勘九郎像が浮かび上がる。
2015/03/03
メタボン
☆☆☆☆ 随所に出てくる芝居の台詞が心地よいリズムとなり、すらすらと滞りなく読める本。歌舞伎の物語にまつわるエピソードがたくさん出てきて、面白いし為になる。東京の古い地名も情緒があって良いものだ。勘九郎が舞台とゆかりのある土地を訪れる途中でのいろいろな因縁との巡り合わせが何とも不思議で興味深い。勘九郎、なかなか文章がうまいなと感心もした。
2016/02/27
Madoka.@書店員復帰を目指し中!
勘九郎さん(現・勘三郎)さんがお元気だった頃に執筆をされた本。訃報を聞き、読みだした本なので写真もお若い。文章に勘九郎さんの人柄の良さがあらわれている。歴史の事についてもわかりやすく、かみ砕いで書いてあるのでとても勉強になる。忠臣蔵の話から歌舞伎の話まで幅広く書かれていて読んでいて楽しい。
2012/12/08
千本通り
勘九郎さんの聞き書きをまとめたもの。その口調が蘇ってきて、本人が目の前でしゃべっているようだ。歌舞伎の題目をネタに各地を回るが、さほど歌舞伎を知らなくても面白く書かれてあるのは勘九郎さんのサービス精神の成せる技か。逝くのが早すぎるよ。
2019/10/20
南註亭
「ぶらり旅」といっても旅行エッセイではなく、歌舞伎の題材に関係した場所めぐり。エピソードの羅列に終わらず、ちょっとした歌舞伎小事典としても読めます。歌舞伎へのひたむきな姿勢が随所にみられ、芸歴五十年の「芸談」は強い探究心と責任感に溢れています。語り口は軽妙洒脱というよりは粋で、江戸っ子独特の照れもうかがえる。オススメ度は、☆☆☆☆★ 4.5
2011/11/02
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