エンブリオ 2 (集英社文庫)
エンブリオ 2 (集英社文庫) / 感想・レビュー
nobby
うーん、続編想定してなのか大分消化不良な読み終わり…下巻に入っても、倫理を問われる治療の数々に綻びは見えて来ず意外にも順調。ようやく残り100頁位で不審が生じるが、その黒幕も分かり易く展開も案外静かで…天才 岸川による偉業と異常が、少しも後ろめたさを感じさせず描かれるからか彼の真意に行き着けない。結局、眉ひそめながらも最も気になった“代理男”はじめ、何か放り出されたままな感じが残念…その辺りが描かれることを期待して、忘れぬうちに『インターセックス』へは続こうとは思う。
2017/07/07
papako
上巻に続いて。子供いないし欲しいと思ったことない私、ちょっと冷ややかに読んでます。ひたすら患者の満足のために生殖医療に邁進する岸川。そこだけ切り取るといい医者かと思うけど、なんか違う。どこを目指しているの?誰の為のエンブリオ?裏切り者には死を!邪魔な者を次々に殺していく岸川、彼の心にある闇は深かった。さてさて次作は分厚い、どうなる岸川⁉︎しかし、女性の描写が昭和だわー。
2020/07/10
のぶ
下巻に入っても岸川の異常とも言える行動が益々際立ってくる。上下巻を通して岸川は人間性に問題があり、行う医療行為についても素人から見ても行き過ぎだと感じるが、この本で扱っている生殖医学については、倫理面、技術面についても非常に難しい問題だと思う。本作が最初に出版されたのが2002年。先に読んだ、東野圭乃さんの「希望の糸」でもこのテーマが扱われていたが、進歩は日進月歩で、現在では現実の事例もあるかもしれない。このジャンルに興味を持たせてくれただけでも収穫だった。
2019/08/27
はつばあば
こんな医師はなんて呼べばいいのだろう。悪魔に(魂じゃなく)身を売った聖者?。救世主でもあり殺人鬼でもある。奥さんに3億もの保険金を掛けて殺したのは病院・研究資金だと思うが、他に殺されたのは強請を働いた者や身の程知らずの女達。その岸川の法の盲点を突いた無法地帯「ファーム」に日本の先端医療を求める裕福な老人や美を求める女。命の尊厳を問うなら、日本の先端医療を求めるなら、法整備を確立するべきだ。不妊治療で悩む夫婦、人口中絶で悩む女。そんなにまでして生まれた命が育つ半ばで虐待や虐めに。神の領域に踏み込んだ罰か・・
2016/11/27
GAKU
やはり主人公の医師岸川はとんでもない人物でした。多くの不妊に悩む夫婦にとっては、彼は間違いなく恩人であり、感謝してもしきれない医師でしょう。しかしやっている事は無茶苦茶です。しかもそれを私利私欲のためにやっているのではない所がまた怖い。倫理的には絶対間違っていると思うのだが、では現在の人工中絶の実態とかはどうなのか?と問われると、岸川のやっている事とどう違うのだ?とも思ってしまう。良い意味でも悪い意味でも、何とも言えない読後感を与える作品でした。改めて“生命とは何か”考えさせられました。
2016/11/23
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