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ねじの回転 下 FEBRUARY MOMENT (集英社文庫)

ねじの回転 下 FEBRUARY MOMENT (集英社文庫)

ねじの回転 下 FEBRUARY MOMENT (集英社文庫)

作家
恩田陸
出版社
集英社
発売日
2005-12-16
ISBN
9784087478907
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ねじの回転 下 FEBRUARY MOMENT (集英社文庫) / 感想・レビュー

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さてさて

時間遡行を題材にした作品に期待されるあの展開、この展開がきちんと盛り込まれ、作品は一段上の次元へと展開します。恩田さんらしくない丁寧な結末、伏線がぞくぞくするほどに回収されていく展開。そして、これで終わりと思われたさらにその先まで、最後の最後まで魅せてくれる”えええっ、そうだったの?”という見事な結末。恩田さんが描くSFの世界。過去の話なのに未来の話のようでもある。今の我々に続くこの国の事なのにどこか他の国の事のようでもある。少し歴史の知識が増えるとともに、とても面白い世界観を見ることのできた作品でした。

2022/01/16

nobby

下巻に入って物語はぐっちゃぐちゃな事態から、終いにはもうむちゃくちゃ(笑)ハッカーとかバグなどエラーな警告状態に対峙しながら浮かび上がるのはシステムそのものへの疑いまで!コンピューターが意志を持ち得るか!?まさに「来たぁ!」なSF展開にワクワクするも主題はそこにあらず残念…未来と不都合への調和目指される歴史との交錯に混乱する一方で、かなり駆け足に感じた。パンデミックとか完全に史実を曲げた世界とか魅力満載だっただけに、個人的にはそっちを追って欲しかった…結局、自分が今まさに属している世界を精一杯生きるのだ♬

2022/02/28

パトラッシュ

(承前)歴史改変SFを読んでいつも思うが、未来人が都合の悪い史実を勝手に変えるのは歴史をレイプするようなものではないか。多くの人間の思惑や行動が積み重なって成立した過去に何の価値も認めず、自分たちは正義の味方だという傲慢さと過去への蔑視が拭い切れない。本作でもジョンをはじめ国連チームの言動に垣間見える不快さを敏感に感じ取った栗原や安藤が、命令に従わず暴走するのは当然に思えてしまった。作者もわかっているようで、少しずつ蓄積された史実とのずれがマツモトを巻き込んで破局に進むのだ。その展開で一気に読まされるが。

2021/07/27

SJW

二・二六事件の歴史を再生させて、歴史を確定させる作業で、青年将校や国連職員が関係していく。そこで様々な問題が発生し、入れ子のように時間を戻したりと頭が混乱する展開には閉口したが、歴史に「もし」があったならを表現したSF小説は興味深かった。

2021/04/28

dr2006

ミステリだと伏線の回収となるが、この作品では錯綜した時間の集約である。史実との不一致により時間が停止すると、エージェント以外の人や背景が立体的にフリーズしてしまうシーンがあるのだが、完全静止している人は、見た目がどんなにリアルでも死んでいるように見えるとの描写があった。精工で変化しない蝋人形を思い浮かべ、酷く恐ろしくなった。改めて思うのは、人は進む時間の中でだけ生きているとを感じられるということ。そして、一度きりの、有限の時間の人生がどれだけ幸せか気付いた。この作品は哲学への深みを持つSFだと思う。

2019/04/19

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