お父さんのバックドロップ (集英社文庫)
お父さんのバックドロップ (集英社文庫) / 感想・レビュー
ナルピーチ
“お父さん”をテーマに描いた4話の物語。この小説に出てくる4人のお父さん達は子供よりも子供っぽいヘンテコお父さんばかりで、お父さん達の見せるその姿は、時にかっこ悪く、時に情けなく、不恰好な一面もあるけれど、最後はやっぱり家族の為に頑張ってる!子供の頃に見た父親の背中はそりゃあ、大きくて逞しく見えたもんだ。改めて父親という存在に感謝。ほっこりと和みを与えてくれた本書。大人になった今だからこそ、読んで良かったと思える一冊だ。
2021/12/22
chiru
面白すぎて最初から大笑い🤣 笑えて泣ける4人のお父さんと4人の息子の物語。職業は、プロレスラー、落語家、魚河岸、テレビ局の番組制作。悪役レスラーの父親は息子に「友達にあわせたくない」と言われ、売れない落語家は息子から「恥ずかしい」と言われ、少しズレてる暑苦しいお父さんにシニカルな視線をぶつける息子たち。でも本当は父親の努力を知ってる。家族のために嫌な役目も引き受け弱音を吐かず、バカにされても一生懸命仕事をしている背中が大切なことを教えてくれる。最後にキメたお父さんのバックドロップ✨カッコよかった!★5
2021/11/03
おかむー
実は初読みの中島らも。子供向けっぽい文章だと思ったら、初出は学研の付録だそうなので児童書ですね。『よくできました』。子供から見た風変わりな父親の姿を描く4つの短編集。変わった職業だったり「変人」だったり、一筋縄ではいかないけれど子供じみた憎めない父と子のやりとりが微笑ましい。やはり表題作のデキがひとつ抜けている印象かな。表題作は映画にもなっていて、宇梶剛士主演というよりは、当時11歳の神木隆之介の映画デビュー作という事実のほうが注目でしょうかね。
2016/06/27
kazi
親子の関係をテーマにした中島らもの短編集。らもさんの優しさが詰まったハートフルな作品ばかりです。文体は小学生ぐらいの子供向けに書かれたと思われるシンプルなものだが、大人が読む作品としても十分な内容です。逆に子供に語り掛けるような丁寧な「語り」が大人の心にジ~ンと沁みます。あとがきで、『大人というのは子どもが大きくなって、まったく性質のちがう「大人」というべつの人間になるのではないということです。大人には、子どもの部分がまるごと残っています。子どもにいろんな大人の要素がくっついたのが大人なのです。』
2020/07/04
ばりぼー
頭を金髪に染め、鎖鎌を振り回して入場して緑の毒霧を吹きかけ、熊殺しの異名を持つ黒人空手家と一騎打ちする悪役レスラー下田牛之助という設定は、上田馬之助+ザ・グレート・カブキ+アントニオ猪木じゃないですか!(笑)。子供の頃、プロレス好きの父に付き合わされ、金曜8時は必ず家族でプロレス中継を観てましたが、反則の限りを尽くすタイガー・ジェット・シンと上田馬之助のコンビが憎くて憎くて…。子供に尊敬されなくて当然です(笑)。あれがギミックだと知ったのは後のこと、昭和のプロレス黄金時代を懐しく思い出しました。
2015/09/07
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