妻の女友達 (集英社文庫)
妻の女友達 (集英社文庫) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
表題作を含めて6つの作品を収録。こうした短篇サスペンスは小池真理子のまさに得意分野である。今回の作品群もまたハズレがない。もっとも、器用に収まり過ぎていて驚きは少ないかも知れないが。いずれもが殺人事件を描くが、すべて違った構想の下に展開する。このあたりは器用さが大いにプラスに働く。またその一方では古さを感じないでもない。スカーペッタなみの現場検証が行われたりすれば、ミステリーとして破綻しかねないからである。もっとも、そんな野暮なことを言わないで楽しむべきだろう。そういう意味では、思いっきり荒唐無稽な展開⇒
2023/02/20
遥かなる想い
平和の中から、突然破滅的な状態への急変する…さりげない恐怖をうまく 描いている。突然の第三者の描写がうまい。推理作家協会賞受賞。
2010/06/26
miyumiyu
怖い!優しい良妻は、実はしたたかで怖い女だった。「妻の女友達」「菩薩のような女」は、悪女ものでは秀逸な短編だと思う。「転落」「間違った死に場所」は、ラストのブラックなオチがおもしろかった。小池さんの作品には、残酷さや残忍さは感じない。端正でクールで、ブラックユーモアがピリッと効いていておもしろい。
2016/04/29
ふじさん
「菩薩のような女」「妻の女友達」「間違った死に場所」は悪女が絡んだ秀作で、男が破滅の道を歩む作品だが読んでいて怖さはあるが面白い。悪女に対して男は、破滅すると分かっていてもその魅力には抗し難い。「転落」「男喰いの女」は、自分の心に生まれた不安と疑惑から男女が自滅する悲劇を描いた作品でヒッチコックの作品を見た思いだ。「セ・フィニ 終幕」だけは違った趣で、最初から犯人も手口も読者に明らかにして描く方法による作品。ありふれた日常に潜む愛憎が殺意に繋がる恐怖の短編集。表題作が推理作家協会賞が獲ったのも頷ける。
2024/03/28
じいじ
20余年ぶりの小池サスペンス小説の再読。満点評価の赤シールが貼ってあるので読み返したくなった。当時は6短篇を一気に読み切る体力があったが、この度はそうはいかなかった。表題作で大満足、腹一杯になってしまった。主人公は市役所勤務、妻だけをひたすら愛してる謹厳実直の亭主と、美人ではないが清楚で控えめな妻の平凡な夫婦。或る夜、平穏無事な家庭に一本の不穏な電話が…、物語が動き出します。小池さんが描く「悪女」は、憎らしいほど怖いです。
2022/11/23
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