エクスタシー (集英社文庫)
エクスタシー (集英社文庫) / 感想・レビュー
キク
村上龍がSMとフェチズムに入れ込んでいた時期に書かれた「ヤザキ三部作」の一作目。SMと愛とドラッグ、支配と従属について切り込んでいく。ひたすらにエロい。主人公はニューユークでホームレスから「ここに電話して俺に会ったと言えば、金がもらえるよ」とメモを受け取る。その電話にでた、日本を代表するSM嬢の長い長い告白で、この小説の殆どが成り立っている。その告白を聞いた主人公は、ヤザキ達のために、ドラッグを詰めたコンドームを飲みこんで運び屋となる。突拍子がないけど「あるのかも」と思わせる剛腕が、この頃の龍にはあった。
2023/04/22
Take@磨穿鉄靴
やっぱりこの手の村上龍はちょっと苦手だなあ。SMにもドラッグにもほとんど興味が無いというのもあるのかもしれないけど読者の大半はそうだと思う。なんとか最後まで読んだけど常に不快感が付きまとった。★★☆☆☆
2019/01/30
rueshё
登録漏れ
シュラフ
よく作品に対して〇〇ワールドという言い方をするが、それが本当に許されるのは村上龍だけである。この作品もまさに村上龍ワールドと言うべき一般人では入り込むことができない世界である。セックスは喜びであり哀しみであるのだが、村上龍の世界ではただエクスタシーを得るためだけにセックスがある。ここでは最高のエクスタシーを得るための道具として、クスリがありSMがある。男女がお互いを求めているわけではなく、そこには深い孤独感のみがある。ヤザキ、ケイコ、レイコの3人にはつながりがあるのだが、僕には絶望的な孤独しかない。
2015/11/15
ちぇけら
鬱血したように夜が留まっている。膝から崩れ落ちてゆきああ僕はあなたの前でひざまずきたかったのだ、体から力が抜けてそうだよこれが欲しかったんだよと霞む意識の奥で言葉が浮かんで消えた、あそこだけが凍えた欲望のために硬く勃起して射精が許されるのを小刻みに震えながら待ち望んでいる。触覚だけが研ぎ澄まされ人格を手放して誰でもなくなってそれはあまりに幸福だから僕はあなたに断りもなくオルガズムに達した、あなたは怒ってまだ悦びに悶えるあそこをヒールで踏みつける。夜が留まるこの部屋に、僕は脳の奥が痺れたままひれ伏している。
2020/07/17
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