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倒錯の庭 (集英社文庫)

倒錯の庭 (集英社文庫)

倒錯の庭 (集英社文庫)

作家
小池真理子
出版社
集英社
発売日
1996-08-20
ISBN
9784087485134
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倒錯の庭 (集英社文庫) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

4つの短篇からなる作品集。裏表紙のネーミングではサイコ・サスペンス。「倒錯の庭」は、「ヌメリイグチという名の、湿ったキノコ」を2人で食べるシーンに始まるが、この不穏な気配が一貫して作品世界全体を覆っている。理由のない(あるいは明らかでない)不条理のような論理が不気味だ。「罪は罪を呼ぶ」は、冷静周到なはずの外科医にしては軽率に過ぎるか。「約束」は、偶然に偶然が重なり過ぎるとはいえ、小説の結構は見事に整っており、また「あはれ」も深い。「暗闇に…」は結末が予想の範疇に収まり過ぎて、サスペンス性が弱いか。

2019/05/25

アッシュ姉

サイコ・サスペンス四編。二十年ほど前の作品だが、このままオムニバス・ドラマにしても楽しめそうな完成度。倒錯した愛情に溺れゆく女の行く末をハラハラドキドキしながら見守った。どんなに魅力的ないい男でもこんな危険な面があったら、いくらなんでも離れるでしょと思いつつ、斎藤工に置換えてみたら、私も簡単に溺れることが判明。愚かだわ。結末が予想できる話が多かったなか、「約束」は真理子さま~と叫びたくなるオチだった。さすが女王。

2017/12/20

キムチ

寒い日の炬燵守にはうってつけの内容。あ~怖い怖い、とはいうものの倒錯という言葉のまがまがしさに酩酊してしまうような感覚に襲われた。表題以外にも短編が入っており、どれも彼女らしい「心の中の妖しき蠢き」を堪能させてくれる。普段の生活では男・おんなを意識していたらやっていけないけれど(若い頃は別)こんな若い男と遭遇していたら・・はぁ~。おばさんはこんな作品を読むとき、いつの間にやら脳内ワールドにイメージが姿を現していく・・冷たい目をして細身で、ぱらりと垂れた前髪。う~ん、ディーン・フジオカか。一気読み

2017/02/07

青蓮

タイトルに惹かれて手に取りました。「倒錯の庭」「罪は罪を呼ぶ」「約束」「暗闇に誰かがいる」を収録。どれも嫌な気持ちになること請け合いです(誉め言葉です)。一番怖かったのは「暗闇に誰かがいる」かな。オチは読めたけど楽しめました。「罪は罪を呼ぶ」はある意味滑稽でオチには思わず笑ってしまいました。「約束」はすれ違いから生じる事件になんとも切ない幕切れ。表題作の「倒錯の庭」もかなり怖い。小池さんのこう言う作風は好きですね。他にも読んでみたい。

2015/05/16

ぐうぐう

『倒錯の庭』は4作の短編を収録したミステリだ。文庫化の際に改題されたが、元は『恐怖に関する四つの短編』というタイトルで、なるほど、どれもゾッとするような展開を見せるミステリ色が濃厚な物語となっている。罪を逃れようとする行為がさらなる罪を生む連鎖が恐ろしい「罪は罪を呼ぶ」は序の口で、「約束」の大人の男女の太い愛を真ん中に据えながら、序章と終章で偶然が成せる皮肉な展開を挟むことで、すこぶる後味の悪い物語に仕立てていたりして、(つづく)

2019/12/13

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