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骨笛 (集英社文庫)

骨笛 (集英社文庫)

骨笛 (集英社文庫)

作家
皆川博子
出版社
集英社
発売日
1996-11-20
ISBN
9784087485424
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骨笛 (集英社文庫) / 感想・レビュー

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優希

短編集ですが、独立しているようで連作になっています。つかみどころのない物語ですが、夢と現、生と死が曖昧な世界が不思議な色彩を放っていました。全てが溶けていくような世界観に身を委ね、揺蕩っていくのが心地よく、独特の空気に包まれている感覚に陥ります。

2015/11/29

mii22.

迷宮に囚われあの世とこの世の境目のない世界をさ迷うことに、驚きと戸惑いを感じながらも心地よさに浸れる連作短篇集。皆川さんの作り出す物語にはいつもイケナイと思いながらも甘美な死者の世界に安らぎや郷愁を感じてしまう。自分の足元がゆらゆらと揺れ、消えていくのをうっとり眺めてしまうような感覚は危険とわかっていながらも読むのをやめられない。透きとおった骨笛が哀切なメロディーを奏でるとき、私の骨も共鳴するように震える。

2018/10/10

hit4papa

読者をあやかしの世界に誘う短編集です。収められた8編は、独立した作品として読み進めていると、各短編がつながっていることが分かってきます。ただ、最終話『骨笛』を読み終えても、全体としての絵が浮かび上がってこず、ぼんやりと霧の中を彷徨っているような読後感を味わいます。ふいっと現われる不可思議は、有り触れた日常との境目が曖昧で、幻想文学の試みとして楽しめます。ただし、あらすじを語っても、上手く作品の雰囲気を表せません。実際に、読んでみるしかないのだろうなぁ。

2019/07/20

ベル@bell-zou

わたしの姉。わたしの母。わたしの娘。わたしの夢。わたしの骨。散らばる、いろんな"わたし"。集めてつないでみようとするけれど、ふと気づくとどこかがいつの間にか欠けているような。梅雨のこの時期の閉塞感と、各篇が織り成す血縁の息苦しさが妙にダブった。骨笛、作るならやっぱり大腿骨でリコーダー?いやいや、頭蓋骨のパーツでホイッスルもいいかな。

2019/07/11

tomo*tin

冷え冷えとした透明な器を様々な色や形や感情が通過するのを見る。通過する速度は一定ではなく身が切られるほど速いものも眠たくなるほどゆっくりなものもある。けれど決して留まることは無い。通過するだけ。なので、それらの全貌も意図することもうすぼんやりとしている。分からないから美しく、分からないから好きになる。こちらとあちら。狭間にゆらめく言葉。まばたきをした瞬間に包囲される恍惚。私の好む美しさは大抵が低温でひんやりとしていて、残酷な感情を栄養としているのかもしれない。この物語たちのように。

2009/07/06

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