昭和歌謡大全集 (集英社文庫)
昭和歌謡大全集 (集英社文庫) / 感想・レビュー
harass
題名だけは知っていたが傑作と聞き手に取る。コンピューターオタクの若者グループとみな名前がミドリのオバサングループ同士の抗争。だれもが自分勝手で支離滅裂で、ちょっとしたことから殺人に発展し、エスカレートしていく。感情移入できる人物がまったくいないが過剰なディティール、固有名詞の飽和状態と言葉遊び的な表現やドライブ感などに感心。楽しんで書いたと著者のあとがき。映画化されているようだ。200Pほどの薄いのもあり、この著者入門にオススメかと。まあ、自分はあまり熱心なファンではないが。
2020/04/19
yoshida
「半島を出よ」のイシハラとノブエが登場する。村上龍さんらしい作品。平穏な日常にあるイシハラ達異分子。仲間の一人が中年女性を殺害。そこからイシハラ達と、おばさん達の抗争が始まる。あり得ない展開が続く訳だが、村上龍さんらしいメッセージが時折現れる。自分で考える事を放棄した者は成長しない。何かに取組み成し得た者に自信が現れ、他者には魅力と映る等。本作の最終章でのイシハラとノブエの反攻。これが「半島を出よ」でイシハラ達が伝説のテロリストと言われた由縁だろう。この大事件の先に「半島を出よ」の日本がある。衝撃的だ。
2021/12/13
ナマアタタカイカタタタキキ
キ●ガイイシハラ軍団vsミドリのおばさん集団。どこかしら偏った人間ばかりの殺し合い。“限りなく透明に~”からは程遠くて、“69”寄りの作風。もう何から何までおかしい。私は一体何を読まされているんだと思いつつも、先の展開が気になってページを捲る手が止まらない。読者を選ぶであろう不謹慎な内容だけれど、それでも読後感は燃料気化爆弾のように壮快。(当てはまらない人物も多数だけど)作中ではそれぞれの人物が、己に欠けているものに気付きかけたところで死んでいく様が印象的だった。人生の終わりなんてそんなもんかもしれない。
2020/07/31
touch.0324
「あらすじを思い付いたとき爆笑しただろうな」と思っていたら、あとがきに《これほど書くのが楽しかったのは『69』以来》とあった。すごくノビノビとした作品。『半島を出よ』のバイオレンスと『69』のバカさ加減の良いとこどりの、村上龍の真骨頂。ストーリーは、コミュ障カラオケサークルVS有閑おばさんサークル、抗争の果てに…といったところだが、村上的には、どちらのサークルも"考えない大衆"の象徴。そしてどちらも「死ねばいいのに」なのだろう。その突き抜け感とあまりの面白さに電車の中で笑いをこらえるのに必死だった。良作。
2014/12/03
かんらんしゃ🎡
★青年とおばちゃんの報復合戦である。みんな他人に興味ないし、論理が破綻し、発想が飛躍し過ぎ、言うことめちゃくちゃ。そんな彼らが復讐という共同目標を見つけると、次第に仲間とコミュニケーションが取れるようになる。やっと個から集団の社会生活に適合するが、すでに社会からは弾き出される事態となっている。皮肉だ。
2016/09/23
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