野鹿のわたる吊橋 (集英社文庫)
野鹿のわたる吊橋 (集英社文庫) / 感想・レビュー
夜間飛行
午前4時過ぎ、酒場から煙草を買いに出た修司は、販売機の横にうずくまる迪子に気づく。ビンから指が抜けなくなっているのだ。この出会いは時間といい場所といい、バブルの頃の都市の裏側にあった風景を妙に思い出させられる。次に迪子を見かけるのは靴屋の店頭である。客の足下に蹲る迪子の姿態がさりげなくエロい。修司は店に入って靴を注文する。数日後、店を辞めた迪子から靴を渡したいと電話が入る。これをきっかけに同棲し始めた二人の関係は危なっかしく、ついに迪子が姿を消してしまう。読みながらハラハラし、久しぶりに一駅乗り過ごした。
2014/04/20
ちどり
私の読んだ本は図書館からの放出本で 福武書店のものであるけども 大体は同じだろうと思う。 30をすぎた独身の男性が のらりくらりと厄介ごとをかわしながら生きているうちに おのれを持たない女迪子により 結果厄介ごとを捨てていくお話。 読んでいるうちに 柳のような迪子にイライラしてくるが なにも決められないのは女ばかりではなく この男も同じくで 似たもの同士が手と手を取り合っていつの間にやら世を渡っていく。 男目線の都合のいい部分と 絡み合う場面が多すぎて 面白く読めなかった。
2020/03/29
pan pan
何年か前に購入したまま積み本となってたが、当時チラッと読んだ、瓶の穴に指がハマった女と出会うという場面がずずっと印象に残っていた。 三木卓の小説は、「炎に追われて」の蜻蛉のシーンとか、読んだ情景がやけに記憶に残ってる。
2023/11/19
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