満漢全席 中華料理小説 (集英社文庫)
満漢全席 中華料理小説 (集英社文庫) / 感想・レビュー
梨姫
とある文学賞を受賞した作者がその賞金を使って、中国の宮廷料理「満漢全席」を食べに行く。用意した軍資金は250万。主人公の南蝶氏と健啖家らの前に出されるのは、中国料理の奥義をこれでもかと敷き詰めた美食の数々。作中に出てくる料理は、日本ではまずお目にかかれないもので、何が何だかよく分からない。らくだの足や蛙の脳みそなどの珍味などはちょっと気が引けるが、素材の漢字を見ると何となくどんな料理か想像が出来る。中国の皇帝になったような気分での美酒美食三昧。読書中、中華料理と巧い紹興酒が飲みたくなった。
2010/07/26
やいとや
ぼくは「東エイの客」に登場しています。もう四半世紀前か。作品には出てこない猿の脳ミソのスープや蛇のスープが供されたけど、末席用だったのかな?ラクダの足はただただ臭く、動物園のニオイで、上座から回ってきたけど誰も手を出さず、一番下っ端のぼくが頑張りました。料理屋の1階に小動物が檻に入ってたのが、帰るとき檻がカラになってたのも面白かった。熊の掌は上座用には右手、下座は左手とか、細かなところで差をつけられていたけど、楽しく貴重な思い出です。
2021/02/24
roku7777
本を読むときに「感情のゆさぶりを」とか「とにかく泣ける」とか「讀んでああ面白かったと思う本を」とか言っている人には全く向かない本です。でもとても不思議な気持ちで読めます。そしてなんともニヤリとしてしまいます。まあそこにあるのは作者の「教養」なのかなと思ったりするわけですよ。表題作は中編。あと細かい話しが7編。どれも好きだけど表題作の「どーでもよさ」が好きだなぁ。いやほんとにただ中華料理を食べているだけの本なんだけどね。後半7編は「ちょい不思議な話し」怖くもない怪談。そんな話しも好きなんです。
2017/11/26
はちゑ
最初の満漢全席ツアーのお話以外は中華料理をめぐる現代ファンタジー。現代の中華料理屋の中に溶け込む不思議な現象は、どこかで自分もそんな出来事に巡り合ってしまいそうな浮遊感があって面白かったです。文章も綺麗で読みやすかったので、この方の小説を他にも読んでみたいと思いました。
2019/03/26
佐天涙子@御坂美琴
英文学者である南條竹則氏が、「酒仙」で、ファンタジーノベル大賞を受賞した賞金を全て使って、中国にて清朝の宮廷料理である「満漢全席」をひたすら食い尽し、飲み尽くすだけの本。 しかし、優れた英文学者というのは夏目漱石金之助や森鴎外の時代から漢文学にも造詣が深いのだろえか。
2017/05/14
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