会津士魂 9 二本松少年隊 (集英社文庫)
会津士魂 9 二本松少年隊 (集英社文庫) / 感想・レビュー
うらなり
二本松藩は元秀吉の重臣丹羽氏で関ケ原は薩長と同じ西軍なのだからそれほど会津側に立って戦わなくてもと思うのだが、関が原後京都で蟄居していたところを徳川秀忠に召し抱えられ10万石に加増された恩を戊辰まで延々と家臣に伝えてきたという。これもまた武士道なりと思う。主な藩士は白河方面で戦っており、三春藩河野広中らの寝返りにより二本松城は急襲された。そのため二本松少年隊の悲劇を生んでしまう。老人子供で城を守ろうとした。一部心ある薩長軍の隊長はあまりにも幼少の兵隊なので驚き見逃したというが詳細記録が無いのが残念である。
2020/09/24
東森久利斗
12歳、二本松少年隊約50名の人名と年齢の一覧に、胸が締めつけられる。主家と家名のための武勲と名誉の戦死を祈願し、戦場に送り出す親の気持ち。敗者の生きざま、近代日本が如何なる犠牲のうえに成立し、負債として現代に受け継がれているか。膨大な文献、史書を通してその実相に迫る。
2024/01/16
連雀
二本松少年隊の話は、会津の白虎隊ほどには知られていないようですが、大人たちの戦争に巻き込まれる少年たちの姿と言うのは洋の東西、時代を問わず見ていて辛くなります。ところで、大きな歴史のうねりの中の各方面で同時進行で行われている戦争や物事を、特に説明ないまま時間を戻ったり場所を変えたりするのは、そろそろ馴れてきたとは言うもののちょっと理解しにくいですね。都度、年表で確認しながら進まないとすぐに迷子になります。
2018/02/22
tenma
歴史の結末は判っているけれど、段々、小説の結末が見えなくなってきた。固有名詞がバラバラに頭に入ってきて、あっちでもこっちでも同じような戦いが繰り返されているような。連戦連敗が続けば、読む方も辛いけれど、当事者はどうやって士気を保ったのだろう。▼戦いは続いている。けれど、それでもまだ小説の中では会津の外の出来事が綴られている。
2014/01/15
ふとし
西軍が押し寄せるにつれ、東軍内にも亀裂が生じる。危機が目前に迫ったとき、はじめて人間の価値が試される。そんな中で会津武士の揺るぎない正義感は芸術的。誰しもが保身を思うのは当たり前なのに、正義感がそれを上回るのは教育の質の高さからか。
2013/01/17
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