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地下街の雨 (集英社文庫)

地下街の雨 (集英社文庫)

地下街の雨 (集英社文庫)

作家
宮部みゆき
出版社
集英社
発売日
1998-10-20
ISBN
9784087488647
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地下街の雨 (集英社文庫) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

表題作を含めて7つの短篇を収録。この人の短篇集は2冊目。以前に読んだ『チヨ子』にしてもそうなのだが、長編においてはさほど気にならない、作為が露わに目についてしまう。表題作にしても作りこみ過ぎの感が否めない。最後に置かれた「さよなら、キリハラさん」は、まるで種明かしのごとくである。リアリティのあり方が違うといえばそれまでなのだが。そうは言っても「ムクロバラ」などは、独特の「怖さ」を持ってはいるのだけれど。私見では、この人はやはり長編においてこそ本来の力量が発揮できるのではないか。

2020/10/19

そる

不思議な話の短編集。新井素子さんの作品に似てる気がする。26年前の作品で、2人ともSF書いてたから影響受けた?何が言いたいかは自分で考えてね的な、あまり説明しないことで怖さを強調させてる。この7編の作品をどんな意味で1冊にまとめたのかも分からない。謎は多いが雰囲気がいい。昭和っぽいし。「『そういう気持ちは、所帯持ちの男なら誰だって抱いてる。家庭は大事だけど、同時に足枷でもあるわけで、鎖を引きずってるような気がしてくることは俺だってあるよ。だけどそれを口に出しちゃいけないな。それは、旦那の方が悪いよ』」

2020/03/11

短編集。90年代の作品のようで、ストーリーの中で頻繁に出てくる公衆電話や、家電を使わないと連絡が取れない時代が懐かしく感じました。推理ほどでもないミステリーに近い話ばかりで読みやすかったです。『地下街の雨』『混線』『ムクロバラ』が良かったです。結末が何となくぼんやりなままだなと思う話もあったのでもう一度読んでおこうと思います。

2022/07/29

zero1

7つの短編が収録された一冊。日常ミステリーあり、ホラーありと宮部らしい。表題作は結婚間近で捨てられた女性の話。「決して見えない」は都市伝説にありそう。「不文律」は視点の変化が特徴。「混線」は思い切りホラー。「勝ち逃げ」は人に歴史ありの話。「ムクロバラ」は巷に起きる事件の背景をいろいろ考えさせられた。「さよなら、キリハラさん」はSFなのか?解説は室井滋。二人は意気投合して温泉とか一緒に行っているという。本書は粗いが昔の短編集を再読すると、作家の足跡が分かる。図書館で除籍になる前にもっと読まねば。

2018/11/28

yoshida

宮部みゆきさんの不思議な味わいの短編を7編収録。読んでいて最も好きだったのは「勝ち逃げ」。独身を貫いて亡くなった勝子叔母さん。残された弟妹夫婦達は、勝子の生涯は味気ないものだったと勝手に話す。勝子に宛てた古い手紙を切っ掛けに、勝子の生涯の新たな一面を知る。暖かな読後感。表題作の「地下街の雨」。同僚との結婚式直前に一方的に挙式を破談にされた麻子。麻子は退職し八重洲地下街の喫茶店で働き始める。そこで森井曜子と知り合った麻子は、森井の異常さに恐れを抱く。後の作品の萌芽を感じる作品。多様な作品が読める短編集。

2016/09/10

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