異形の白昼 (集英社文庫)
異形の白昼 (集英社文庫) / 感想・レビュー
空猫
宇能鴻一郎サンの初期(not官能)作品が読みたくて引っ張り出した。芥川賞の『鯨神』も手に入りづらい昨今、そういえばアンソロジーに選出されている作品は少なくないなと。で『甘美な牢獄』。少年が必ず通るコンプレックスをこんなにも狂ったエログロで描くとは…やはり只者ではない。後は星新一、遠藤周作、小松左京、結城昌治、眉村卓、生島治郎、曽野綾子、笹沢佐保、都筑道夫、吉行淳之介、戸川昌子というもう間違いのない作家陣。
2021/09/10
LUNE MER
燃えさかる炎を見つめる女性の眼鏡がオレンジ色に染まる…という光景が最近ふとした瞬間に脳裏に浮かび、それをきっかけにスルスルと30年近く昔に読んだっきりの本書の記憶が蘇るという「失われた時を求めて」的な体験をしたことにより再び手に取ってみた。先輩に薦められて本書をドキドキしながら読んだ中学時代の記憶。ホラーとエロスの相性の良さをこれでもかと言うほど突きつけてくる短編群。ちなみに冒頭の女性のイメージは小松左京の「くだんのはは」より。
2020/10/29
銀華
傑作揃いのモダンホラーのアンソロジー。星新一氏と遠藤周作氏以外は初めてでしたが、その筆力は短いながらも発揮されており、久し振りに恐怖感を覚えました。怖いよりも不気味な鬱々とした雰囲気と精神的にじわじわと追い詰める描写がたっぷりと載せられたモダン・ホラー。どれも良かったけど、『蜘蛛』『くだんのはは』『緋の堕胎』が個人的に好き。怪談話の『蜘蛛』や語られるように紡がれる『くだんのはは』、『緋の堕胎』の後味の悪さは癖になる。こういうアンソロジーをもっと読みたいなと思わせる本でした。時間が経ったら再読したいです。
2014/05/11
ねじまき少女
神保町で単行本を見つけて、気になり購入してしまいました。どの話も本当に完成度が高く、編筒井康隆氏ということもありテンポ良く読める。好奇心を掻き立てる作家ばかりなので、他の作品も読んでみたい。
2013/02/27
mono-less
ホラー系の短編を集めたアンソロジー。編者は筒井康隆。名を連ねる作家も、遠藤周作、星新一等、一流どころばかり。もはや古典と言える小松左京「くだんのはは」は、今読むと戦争文学としても興味深い。曾野綾子「長い暗い冬」のラストは衝撃的で唖然としてしまう。よく思いついたなあ。確かにこれはすごい。あと、僕が筒井康隆を読み漁るきっかけになった氏の「母子像」が入っているのは嬉しい。ショッキングなラストシーンは退廃芸術の絵画を見せられているよう。そこでは哀しさと美しさと奇形が三国同盟を結んでおるわけです。
2014/07/28
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