蠍のいる森 (集英社文庫)
蠍のいる森 (集英社文庫) / 感想・レビュー
ぐうぐう
1987年刊行。かなり周到に練られたミステリだ。謎やトリックで魅せるのではなく、人間の心理を描くことで不穏な展開を招き、読者を物語へ引きずり込んでいく。これは小池真理子のミステリにおけるスタイルだが、驚かされるのは、これが小池にとってわずか3作目の長編ミステリであると言う事実だ。この完成度の高さは尋常ではない。二組の登場人物のドラマがそれぞれ描かれ、しかしまるで接点が見つからない。かなりの枚数を経て、やっと交錯し始めるが、着地点はまったく想像できない。(つづく)
2020/12/18
キムチ
美千代、真樹子いずれも「いやな女」だけれど、さらに嫌悪を感じるのが修平。どこが・・というのでなくざわっとする触感というのか。 都会にはこんな人もいるんだろう・・っていう都会とは?東京圏しか想定できないけれど。 まず、地方にはいないタイプだ。精神を病んでいると決定できないけれど、らせん状に終末に収束していく呼吸感が胸苦しい。
Hiroko Ito
女性翻訳家と女性図書館司書、便利屋男性がひょんなことから出会い、衝撃の結末をもたらすサスペンス。サスペンスとしても愉しく読めたけど、司書美千代がとある“病”に苦しみ乗り越えていく過程にも注目。緊迫した状況の中、童話作家の“くまさん”の登場や生活の彩りを感じさせる情景描写があり、その辺りの塩梅が絶妙です。最近愛聴しているカラベリ・グランドオーケストラもアレンジしている『もう森へなんか行かない』がカーステレオから流れてくるシーンがあり、個人的にも因縁を感じざるをえない一作品。
2015/05/12
マー坊
続きが気になって一気に読んでしまった。ただちょっとラストがあっさりしすぎな気もする…
2011/09/20
でこぽん
文章の上手さに舌を巻きながら最後まで楽しんで読んだ。しかしラストがあっけなかったのがちょっと。
2010/06/17
感想・レビューをもっと見る